4話
「あっ…西原君、捜査会議」
「…あぁっ‼」
晃が思い出したように言うと、西原は一瞬、何の事なのか分からなかったようだったが、すぐに理解したようでがたがたと立ち上がった。
「誘拐殺人ってなって…る、から…」
ジャケットを羽織りコートを掴んで、ふと何か思い出したのかじっと狢を見たと思ったら、がっと狢の尻尾を掴んだ。
「狢、お前…協力しろ‼」
「え?え?」
「誘拐殺人って事にしておかないと‼こっちが、むつの死体が偽物だって気付いたって教えてやる必要ないですよね?」
西原が山上と晃の同意を得るように言うと、山上と晃もそうだなと頷いた。
「狢はわしが連れていくわ」
片車輪が狢を抱き上げようとしたが、狢はするっとその手から逃れて、西原の肩の上に器用に登っていった。
「1人で戻れるからいい」
「お?じゃあ…途中で下ろしてやるから頼んだぞ。山上さん、俺のバイクの鍵どこですか?」
「鍵な、鍵…どこだっけ?」
山上は机の上を見渡し、無駄にジャケットのポケットを叩いたりしている。やれやれと颯介が立ち上がり、会社の車の鍵を入れてある箱を開けた。
「これですか?」
だいぶ使い込んでいるキーケースを出して、西原に確認させると颯介はそれを投げた。