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4話
「お前、その女とは会ったんやな?」
「会った…一晩だけ一緒に過ごした」
「その時の様子、分かりますか?」
「人間なのに鎖で繋がれてた」
「山上さん、ここから出ましょう。狢から話をゆっくり聞きたいと思います」
京井がそう言うと、山上は頷いた。
「狢、お前…知ってる事を話してくれるなら、逃がしてあげます。どこか遠くで安全な所に。協力しますか?」
「あんた…人じゃ」
狢は言いかけて黙ると、こくりと頷いた。話はついたとばかりに、片車輪は狢の身体を首に巻き付けた。
「マフラーになっときや」
「この藁人形、どうします?」
「それは…そのままで。警察の失態ですからね。さ、さっさと出ましょうか」
晃は持っていた掛け布団を藁人形の上にかけると、さっさと安置室を出ていった。