4話
片車輪がそう自信たっぷりに言うと冬四郎と晃は、ほっとしたように顔を見合わせて笑顔を見せた。
「…じゃあ、むつはどこに?」
「今じゃなくてもそのうち殺されるさ」
ぶらんぶらんと片車輪に掴まれ、逃げられずにいる狢が威張ったように言った。じろっと片車輪は睨み、狢の腹にデコピンを食らわせた。相当、威力のありそうなデコピンにされても居ない、祐斗がうわっと言い顔をしかめていた。
「本当の事さ。我は頼まれたからしただけだ‼さっさと放せ‼この独活の大木‼」
「あ?なんやて?」
片車輪と狢が睨みあってると、ゆったりと近寄ってきた京井が、狢に向かってにっこりと微笑んだ。そして、指先で毛皮を撫でた。
「…狢の毛皮ってそこそこの値段付きますよね?剥いでみましょうか」
にっこりと微笑みながら、指先にぐいっと力を込めると、鋭く尖った爪が皮膚を引っ掻く感触に狢は、震え上がり黙った。
「誰に頼まれたんです?」
「知らないんだ、本当に!!ただ、倉庫にいた女の遺体に見えるようにしろって言われて」
「そうですか。妖がただで人の言う事を聞いた…という事ですか?」
「ち、違う…殺されそうになって。けど、それをしたら逃がしてやるって言われたんだ」
京井と片車輪は顔を見合わせた。