4話
狭い安置室の床を白い布が、するすると這い、片車輪がそれを追い掛けてばたばたと暴れている。巻き込まれたくないのか、冬四郎は晃を壁際に寄せた。山上と颯介、京井も同じ様に避難している。だが、逃げ遅れたのか西原と祐斗は足を踏み鳴らしながら、あわあわと白い布を踏まないように、片車輪とぶつからないようにとしている。
「うをっ‼な、なんだよ、なんだよこれ‼」
「谷代君、捕まろや‼」
「えぇ‼むりむりむりっ‼きもっ‼」
大柄な男と少し小柄な男2人が、ばたばたしているのを眺めながら、晃は説明を求めるように冬四郎を見た。
「とりあえず、むつではない事が分かりそうとだけ思って貰えればいい」
「そ、そうか?うん、なら任せようかな」
ばたばたしているうちに、ぽんっと跳ねた布を片車輪が掴もうとしたが、掴みきれずに弾いてしまうと、飛んできた布をぽすんっと祐斗がキャッチした。
「谷代君、離したらあかんで‼」
「えぇ…!!何か、何!!布じゃないって‼ちょ…ちょっと!!西原さんってば‼持って持って‼」
「いや、むりむりむり‼」
寄ってくる祐斗から逃げるようにしながら、西原は顔の前で懸命に手を振っていた。