4話
「祐斗も知ってたのか?」
「あ、はい…むつさんと呑んだ時に聞きました。毛が濃いのが悩みとかで…下の毛もワックス行ってるからほぼ無いって。だから、この人…違うと思います」
「この前、つるっつるでしたよ」
西原が言うと冬四郎、山上、晃、京井がぎろっと西原を睨んだ。西原は慌てて手を振りながら何もしてませんよ、と弁解している。
「…それに、ねぇ」
京井が何か言いたげに、片車輪を見た。片車輪は離れた所で、腕を組みじっと遺体を見ていたが、顔をあげると頷いた。のっしのっしと近付いてきた片車輪は、遺体を取り囲むようにして居る面々を少し遠ざけた。すると、京井が晃と冬四郎に向かって、失礼しますと言った。
「え…」
晃は驚いて、京井を止めようとしたが冬四郎がそれをとどめていた。京井はむつの身体に、ぐっと顔を近付けると鼻先が触れそうな距離ですんすんっと鼻を鳴らした。
「…そっちです‼」
京井が鋭く言うと、片車輪は京井の視線の方に手を伸ばした。伸ばした先は、晃が持っている布だった。
「え?」
何が何だか分からない晃は、急に髭面の男が迫ってきておおいに慌て、ぱっと布から手を放した。
「捕まえてくださいっ‼」
ひらひらと落ちるはずの布は、すとんっと床に落ちると、するすると床を這っていく。