4話
最後に入った西原が、ぱたんっとドアをしめると、晃は合掌をして目を閉じた。そして、顔にかけてある白い布を取った。発見した時には、首の所から真っ赤な血がとろとろと流れ、肌を赤く染めていたが、今はそれも綺麗に拭ってあった。晃は、掛けてある布団に手をかけると、はぁと息をついてばさっと取り外した。
遺体とはいえど、一緒に働いてきた人の裸体を見るのに抵抗があったようで、祐斗と颯介は目を反らしていた。やはり、冬四郎も見たくないようで壁側に下がっていた。それとは反対に、西原と山上はじっくりと遺体を見ている。
「あれ?」
西原の声に、祐斗はそろそろと目を開けた。薄く目を開けて、おそるおそる横たえてある遺体に視線を向けた。
「あ…」
西原が何に気付いたのか、祐斗も分かったようで2人は頷きあっている。京井でさえも、首を傾げている。
「むぅちゃん…じゃないですね」
「違います、よね?」
「違う。むつじゃないな」
3人がそう言うと、冬四郎も気になったようで壁から離れるとしげしげと遺体を眺めている。
「説明、出来るかな?」
晃が少し嬉しそうな声で言った。
「はい。むつは…や、むつさんはその…ワックスに通ってるので1週間やそこらで体毛が伸びる事はないですね」
西原が言うと、うんうんと祐斗が頷いた。