4話
和やかに会話をしつつも、晃ははやり無理をしているのではないかと、西原は心配だった。気にしすぎかもしれないが、来た時の晃とは少し様子が違う。冬四郎と西原が加わり、山上と晃の4人で話していた時に晃が司法解剖の終わったむつを見て、違和感を持ったと話していた。自らの目で見て、確認をしているのだからむつに違いはない。だが、どこかおかしいと。それは、生きている時と死んでいる時とでは違うだろうと、山上も言っていたが晃はがんとして認めなかった。
晃としては可愛がっていた妹が死んだと認められないのだと、西原は思っていた。だが、司法解剖の結果を聞き西原も、もしかしたらと思わないでもなかった。指紋の一致がなかったのだという。以前にむつは警察の取り調べを受けた事があり、その時に指紋を取ったのだから警察のデータベースにはあるはずだが、その指紋とは一致しなかったのだという。だが、発見した時には冬四郎も山上も颯介、祐斗、京井と妖であり仕事で1度関わりを持った片車輪もが、むつ本人だと認めていた。指紋の一致がないが、本人。西原には、よく分からなくなってきていた。
「あ、あの…宮前警視正?」
「ん?そんな、谷代君はわたしの部下でもないんだから、かしこまる事ありませんよ。で、どうしました?」
「身内でもない、ぼ、僕らも…その、むつさんと」
「あぁ、もちろん。一緒に見てもらわないと、来て貰ってる意味がないからね」
そう言うと、晃は冬四郎の車の後に続いて、停車させた。そして、はぁと溜め息を漏らした。