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4話
シャツを着てボタンをし、仕事に行くわけでもなくネクタイをしめている京井を、祐斗と西原は眺めていた。
「…どうしました?」
「何か、かっこいーなと思って」
「だよな。背もあって身体もしっかりしてるってなるとスーツも似合うし…良いよなぁ」
「西原はもうちょい背があったら良かったよな?」
山上がからかうように言うと、西原はむっとしたように頬を膨らませた。身長も仕草も、祐斗とよく似ている。
「良いんです‼これでも…祐斗君よりはモテるはずですからね」
「どっちもどっちだろ」
ふんっと山上が笑うと、颯介と片車輪がくすくすと笑った。西原が来てから、明らかに事務所内の雰囲気が変わった。どんよりと暗い雰囲気が後退し、まだやれる事があると分かり、それぞれにようやく動き出そうとしている。