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4話
西原は冬四郎を見下ろして、ふんっも鼻を鳴らして奥に向かおうとしたが、その腕を冬四郎が掴んでいた。
「お前に役立たず呼ばわりされたくないな」
「いや、役立たずですよ」
「何だと?」
立ち上がった冬四郎が、じろりと西原を睨むと西原は少し怯んだようだった。だが、少しほっとしたような様子でもあった。
「ちっ…」
冬四郎は西原の腕を放すと、ずんずんと先に奥に向かっていった。それを見た西原が、颯介と祐斗に目を向けると、にやりと笑ってみせた。だが、すぐに真面目な顔に戻ると小走りに冬四郎の後を追って部屋に入っていった。