4話
「…俺、管轄違いますが捜査に加えて貰う事にしました。警視正に話を通して貰って…宮前さんはどうしますか?」
冬四郎はちらっと顔を上げた。こんな事になってしまった今、犯人が見付け出した所でむつは戻ってこない。それに何の意味があるのか分からなかった。これが仕事ならば、犯人を許せない気持ちと遺族の為にもとがむしゃらになれるが、当事者となってしまうと、気持ちが動かない。冬四郎がすぐに、何とも言わない事に西原は腹を立てたのか冬四郎の胸ぐらを掴んだ。
胸ぐらを掴まれても、何とも言わずにこれといった反応をしない冬四郎を見て、西原は諦めるようにして手を放した。
「俺は今、公私混同してると思います。けど、それを隠すつもりありません…そのくらい犯人が憎い。このままじゃ、俺自身の気持ちに整理がつきませんから…それに、むつが居なくなってから9日。その間に何があって、何で今、殺されなきゃいけなかったのか知りたいんです」
西原はそう言うと、冬四郎を見た。少し何か動かされるものがあったのか、冬四郎は顔を上げた。
「むつの仇は俺が打ちますよ。宮前さんみたいにうじうじしてる人なんか、居ない方が捜査もしやすいってもんですからね‼湯野さん、警視正来てますよね?」
「え、あぁ…社長と奥の部屋に」