表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
よろず屋-狩るモノ-  作者: 幹藤 あさ
156/542

4話

「ほれみろ…寒いんだろ?」


酒焼けのような少ししゃがれた声が、優しく聞こえた。寒くて鼻をすすってるわけではない事を分かっていて、そう言う山上の声に祐斗は、ぎこちなく頷いてみせた。だが、頭を動かしたせいかぼろっと目元から大粒の水が落ちていった。祐斗が袖で、ごしごしと目元をふいているのを山上は柔らかな表情で見守っていた。


「…寒いし、寂しいよな」


ぼそっと呟いた山上の語尾が少し震えていたように聞こえ、祐斗は顔を上げた。祐斗のように、涙こそ流してはいないが、その目は赤く潤んでいた。


祐斗の食い縛った歯の隙間から、くうっと声が漏れた。それと同時に堪えきれなくなったのか、ぼろぼろと両目から涙が溢れて落ちていく。山上はそんな祐斗の頭を撫で、肩に手を回して引き寄せた。山上に寄り掛かるようにして、祐斗は泣いていた。


「泣けないやつの分も泣いてやれ」


ぽんぽんと肩を叩かれ、祐斗は返事も出来ずに、何度も頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ