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3話
倉庫の中は、がらんとしていた。木枠が積み上げてあり、中を全て見渡す事は出来ない。だが、埃が積もっているあたりを見ると、今は使われていないのかもしれない。冬四郎は足元を照らした。山上と冬四郎の足跡以外にも、複数の足跡が見られる。
「誰か最近入ってきたのは確かですね」
京井も床を見て、そう呟いた。だが、残っている足跡のどれもが、男物のようで大きい。
「そうですね。けど、こうも木枠ばかりがあると…どこから何が出てくるか分かりませんね」
「えぇ…海風の音ばかりで他の音が拾いにくいので、気を付けないといけませんね。向こうは大丈夫でしょうか…」
「あいつらは踏み込まないから…まぁ大丈夫じゃないか?反対側のドアを押さえて貰うだけだ」
山上がそう言うと、冬四郎と京井は成る程と頷いた。だが、冬四郎は片車輪たちよりも京井の方が心配だった。