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3話
悩んでいた京井だったが、判断しかねると思ったのだろう。つかつかと、冬四郎と山上の腕を掴むと少し離れていった。そして、ぼそぼそと話をしていた。片車輪はそれを見守っていた。人間に判断をさせるなら、それが正しいような気がしていたのだ。少し話しただけで決まったのだろう。山上だけが戻ってきた。
「正確な場所を把握してから、二手に別れる。お前に湯野ちゃんと祐斗任せても良いか?前にも襲われてるから危ないかもしれないがな」
「逆にそれでえぇんか?湯野君と谷代君が危険になるんやで?」
「湯野ちゃんは大丈夫だろ。祐斗も自分の身は…まぁ、何とかなるだろ」
山上はそう言うと、颯介と祐斗にも同じ事を伝えに行った。片車輪は京井の元に行った。
「正確な場所、分かりそうか?こんだけ風があんねんのに」
「大丈夫ですよ。今ならまだ」
自信があるのか京井はそう断言した。今ならというのは、風が強く匂いが流されすぎると分からなくなるという事にでもあった。