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3話
冬四郎は床に落ちている毛布を拾うと、京井にかけてやった。京井は、ぴくんっと耳を動かしただけで、何も言わずにくぅくぅと寝息を立て始めた。
「祐斗と湯野ちゃんはどうする?」
「行きます」
「俺も行きます」
山上が聞くと、颯介も祐斗も即答した。
「暗くなってから動くのは危ないかもしれないが…仕方ないな。お前ら自分の身は自分で守れよ」
「はーい」
祐斗は、手をあげて返事をした。遠足に行く子供のような元気よさに、山上と冬四郎は苦笑いを浮かべた。
「暗くなるまではここで待つしかないてすね」
する事がないと分かると、颯介は血の付いたタオルを抱えて、キッチンの方に向かっていった。シンクに水を溜めると、その中にタオルを入れてもみ洗いを始めた。