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3話
「ま、最後まで聞きや。んで、にぃちゃんが下に行って確認すると、ねぇちゃんやなくて、化け狐やったんや。それは、わしら…社長と犬神さんも見てるからな。ただ、仲間にねぇちゃんに化けてた狐が殺されたってだけや」
片車輪がそう話すと、颯介も祐斗も少し嫌そうな表情を浮かべたが、むつが死んだわけではないと分かると、ほっとしたように息をついた。
「それで、犬神さんが臭いが残ってるうちにって、追い掛けたんをわしも追って行ったんや」
一通りの出来事が把握出来ると、颯介と祐斗は頷いた。そして、その先の事が冬四郎と山上も聞きたい事だった。
「結果は撒かれてもうた。追い付けると思ったんやがな、途中で臭いが別れたんや。せやから、わしと京井さんも別れて追ったんや」
「狐を殺してますからね、その血の臭いが残ってましたから。それだけあれば十分に追えたはずなんですが」
奥から静かな声が聞こえてきた。片車輪は太い眉を持ち上げて、おやという顔をした。這いずるようにして、犬神さんが姿のままの京井が、こちらに近寄ってきていた。