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3話
風呂に入ってさっぱりした顔の冬四郎が戻ってくると、山上は苦笑いを浮かべた。まだ髪の毛がしっとりと湿っているが、石鹸の清潔な香りがしているし、しっかりとアイロンのかけてあるシャツをぴしっと着こなし、気分転換になったようだ。
つかつかと歩み寄った山上は、ぱかんっと冬四郎の頭を叩いた。冬四郎は、痛そうにしたものの、照れ笑いのような物を浮かべていた。
「さて、このバカもしゃきっとした所で…とりあえず片車輪から話を聞くか」
「京井さんは?」
「片車輪と同じ軟膏つけて、包帯を巻いてきました。今は眠ってますから」
颯介が包帯を巻いたのか、テープや残った包帯を持って奥から戻ってきた。それらを救急箱に詰め込み、残りは袋に突っ込んで置いた。
「コーヒーいれ直しますね。あと灰皿も必要ですね」
キッチンに祐斗が入っていった。