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3話
山上に言われた冬四郎は、渋々といった様子で近くの風呂屋に向かっていった。
「湯野ちゃん、片付けしてくれたんだな?ありがとうな、また汚れたけど…けど、なんで祐斗まで居るんだ?」
じろっと山上に睨まれた祐斗は、びくっと肩を震わせていた。そんな様子を見て、颯介がくすくすと笑っていた。
「また、さぼったな?」
「え、あ…はい…」
「午後からは自主休講だそうですよ」
祐斗の代わりに颯介が答えると、山上は目を細めて、祐斗を睨み付けた。面白がっている颯介にちくられた祐斗は、泣きそうな顔をして颯介を見た。だが、あとは知らん顔をしていた。
「お前な、お前の本分はなんだ?学生なら勉強だろ?何でそれをさぼってんだ?むつが戻ってきたら、むつから説教して貰わないといけないな」
ぶつぶつと山上は言うと、祐斗にコーヒーをいれてこいと命じた。祐斗は文句も言わずに、そそくさとキッチンに向かっていった。