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3話
「か…片車輪も手当てを」
祐斗が買ってきたばかりの包帯と消毒液を出して、片車輪の腕を掴んだ。それを見た冬四郎が、祐斗の手から包帯を取った。その代わりに脱いだジャケットを祐斗に渡した。
「丸めて、京井さんの頭の下に。あと毛布かけといてあげてくれるかな?」
「あ、はい…良いんですか?ジャケット」
「ん?あぁ、良いよ」
冬四郎はあぐらをかいて座ると、片車輪の腕を掴んだ。そして、どこを怪我したのかと確認した。火傷のようなただれた傷を見て、冬四郎は首を傾げた。
「自分の炎でか?」
「んなわけたるかいや…あれや」
顎をしゃくって片車輪はナイフを指した。冬四郎は、ふーんと言っただけで、消毒液のキャップを外すとどばっとかけた。
「あだだだっ‼おいっ‼」
「しーっ。京井さんを休ませないと…火傷に見えるな…軟膏でもつけとくか?」
「軟膏なら、倉庫の救急箱にある」
「あ、そうなんですか?って、いつから?」
冬四郎の肩越しに、山上が片車輪の傷を見ていた。そして、自ら倉庫に入って行くと、救急箱を出してきた。
「煙がもくもくしてる時にな。家事かと思ったぞ」