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3話
ばたばたと息を切らせた祐斗が戻ってした。
「包帯と消毒液、ガーゼも一応、多めに…領収書入れてあります、から」
はぁはぁと息をつきながら、祐斗が買ってきた物と財布を颯介に渡した。颯介はそれを受け取ると、片車輪の所に行った。後からついてきた祐斗は、京井の犬神に戻っている姿を初めて見たのか驚いた顔をしていた。それと共に、血まみれのタオルを見て、眉間にシワを寄せた。
「抜くで?湯野君、すぐに止血したってや。傷口にタオル突っ込んでえぇから」
「いや、それは…ちょっと」
京井がかろうじて首をあげると、ははっと乾いた笑い声は発したが、すぐにぐったりと床に顔をつけた。
片車輪は柄の部分を両手で掴んだ。
「谷代君、犬神さんを押さえときや」
言われた祐斗は、こくりと頷くと京井の顔の下に膝を入れ膝枕をすると、抱き付くようにして、首の辺りと脇のあたりをぐっと押さえつけた。
「犬神さん、暴れやんといてな…かなり痛いで」
「っ…一気にお願いしますよ」