3話
空腹だった祐斗があれもこれとも買い物カゴに入れた物を、そのままそっくり買ってきたからか、2人分にしては多い弁当をレンジで温めると、片車輪も加わって一緒に食べ始めた。
「普段、妖って何食べてんの?」
弁当の唐揚げを口に運びながら、何気なく祐斗が聞くと、片車輪は首を傾げた。
「食事かぁ特に必要ないねんな」
「えー?そうなの?腹減らないの?」
「空腹っていうのは感じる事ないな…他のんは知らんで。犬神さんとかなら、まぁ犬みたいなもんやし食事いるんちゃう?」
祐斗は、ふーんと返事をしながらもう1つの唐揚げにかぶりついたが、衣ばかりで油っぽくあまり美味しいとは言えなかった。だが、空腹な今は腹に貯まればそれで良いかと思っていた。颯介も同じなのか、時折匂いを嗅いだり首を傾げながら食べていた。
「あんまり美味しくはないな」
「やっぱり?片車輪でもそう思うなら、そうとうって事だよなぁ」
祐斗はうんうんと頷きながら、ご飯を頬張ってもごもごと噛んでいる。
「でもって何やねん…犬神さんの飯食うてまったら…あれやな…」
「あ、それとは比べたらダメだよ」
コーヒーを珍しく甘くもしていない祐斗が、苦々しい黒い色の液体で米を流し込んだ。