3話
「わしも妖やからな。前におうたからって人前に簡単に姿を現すのもなぁ…けど、なんつーか、ねぇちゃんの友達呼ぶような声に負けてしもうたんや。釣瓶火もねぇちゃん所に遊びに行ったりしとったやろ?で、やっぱりねぇちゃん来たら釣瓶火がふらっと行ってもうたから、わしも出ていってやな。そこで何や世間話をしてやな」
「世間話!?」
「祐斗君、驚くのそこ?」
「だって、わざわざ遠くまで行って世間話をしてって…むつさん何してんすかね」
「それは、わしも思うたわ。で、携帯を持ったら何て話になってな…ねぇちゃんがまた来た時に買うて、連絡先を。せやから、ねぇちゃんの連絡先しか知らんけどな。使い方もいまいち分かへんし」
片車輪がそう言うと、颯介も祐斗も笑うのを我慢するかのような、顔をしていた。
「料金って…どうしてんだ?」
「まぁその、またに海で仕事をやな…」
「はぁ…何か、分かったよ」
「むっちゃんは、妖の社会進出を促してたりするのかな?」
そこら辺のむつの考えは、一緒に仕事をしてきている颯介にも祐斗にも分からず、首を傾げるばかりだった。
「まぁ、それはむっちゃんに聞けばいいか。とりあえず、少しご飯食べようか」