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3話
「いや、何でもないよ」
廊下の端にあるボックスを開け、颯介は中を除き込んでいる。そして、下がっているスイッチをとりあえず、といった感じでばちんばちんっと上げた。
「ついたかな?」
「見てきます」
とっとっとと小走りに祐斗は、事務所に戻って中を見ると、颯介につきましたよーと声をかけた。ボックスの蓋を閉めて、颯介が戻ると電気はちゃんとついていた。窓も塞いだし、これなら暖房もつけられそうだった。
「片付け、始めようか」
「そうですね。ついでの大掃除って事でいらないものも片付けちゃいましょうか」
エアコンのスイッチを入れて、祐斗は上着を脱ぐとやる気満々のようで、袖をまくった。
「うーん、祐斗君が来てくれて本当に助かったよ」
「え?そうっすか?」
「うん。だって、この片付けをするのかーって思うと嫌になるけどついでの大掃除でって言われると少しやる気も出る。それに話相手がいるっていうのは良いよ」
颯介は椅子にひっかけてある祐斗の上着を持ち、倉庫にあるハンガーにかけると中からついでに、掃除機を取り出してきた。
「さて、先ずは床からかな?」