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3話
颯介と祐斗はとりあえず、倉庫から出してきた段ボールを割れた窓にあてて、ガムテープで止め、風が入ってこないようにした。
「電気系統もやられてるみたいですね?」
「そうなんだよ。こういう時、依頼書を紙にしといて良かったって思うよ」
依頼人に連絡をするのに、電話を描けたのだが、その際には依頼書に記載されている番号にかけたのだ。少々、手間取り文句も言われたが、こそは料金を下げる事で何とかなった。中には、キャンセルとなった仕事もあったが、それを報告しても山上は何も言わなかった。
「電気系統か…廊下の端にブレーカーとかってまとめてあったよね?ちょっと見てみようか?」
「見て、何とかなるんですか?」
「落とされただけなら、上げれば良いし…だってほら、廊下は電気ついてるしエレベータも動いてるからね」
「けど、室内の電気とかつかないのにキッチンのポットは使えたんですか?」
「うん、回線が違うのかな?」
颯介にくっついて行きながら祐斗は、首を傾げている。颯介の上着の首元から顔を出している管狐も、真似をするように首を傾げていた。
「…どういう事、なんだろうね」
「え?」