女キャラを書きたい
「母さん、女キャラを書きたいんだ。」
俺は母に対しそう問いかけた。母は何も答えてくれない。
「そりゃ、俺が書きたいのは紙の女でぴちぴちの美少女だからね。母さんが閉口してしまうのも無理ないか・・・」
「・・・・・」
「俺はずっと親不孝ばかりしてきたからね。結婚もできず、マトモな仕事にも就けず、金ばかり貪り食ってきた。だから今こそ恩返しというか親孝行したいんだ。」
「・・・・・・・」
「ずるい奴だとは思ってる。この期に及んでこんな訳の分からない事言い続けてるのも承知している。でも俺自身もう後がないんだ。俺が起死回生図るには可愛い女の子の出てくる小説を作るしかないんだ。」
「・・・・・・・・・・・・」
「俺は今度こそ本気だよ。最早生き残るための生存競争だと思ってる。俺が夢見る業界も優秀な人ばかり溢れてて正直、俺なんかの居場所なんて無いと思う。でも母さん。俺はやるよ・・・・」
「・・・・・・・・」
「とりあえず、ネタ探しのために秋葉行ってくる。行ってきます」
「・・・・・・・」
仏壇前の遺影が一瞬ほくそ笑んだような気がした。