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光のポーション  作者: モネノアサ
王都魔法学園で
75/133

75話 三位への対策

昨日も一話上げてます。

五日から今日までは連投していますので、途中飛ばしてしまっていたら

案内をうっかりしていて、すみませんでしたm(__)m

領地対抗戦なので、連投していましたが、明日は難しいかと思われます。

基本隔日投稿になる予定です。


 三位ムスベル領へ何か対策がないか、まだ戦っている隣の競技を見る。

 モニターを通して見えるのは壁だけど、扉つきのような門のような城壁?


「うわぁ! 三位領地は今年城壁扉を出してきてるぞ! 攻めるのが大変だ」


 三年生が声をあげた。

 ん? これって城壁なのか。城壁扉ってなんだ?


「城壁扉とは何でしょうか?」

「錬金術、もしくは土の複合魔法で出す強固な壁のことだよ」

「そうよっ、あんなの出されたらどうやって壊すのよ! 黒飛猫でも無理かもしれないわっ」


 三年生が答えてくれたけど、マルガリータはご立腹だ。

 中級魔法の土壁の強固なものではなくて、錬金術での城壁だったようだ。


「クレトやシャインの召喚獣ならいけるだろ」

「それでも大変ですわよ? 守りをしっかり三年生で取っている分、攻めは一年生が三人もいますし」


 一年を三人入れたのは確かマルガリータだったと思うけど……。

 ん? 錬金術?


「錬金術で作った壁と言われましたよね?」

「そう言ったわよ」


 いや、答えてくれたのは三年生だったはず……、ま、いいか。


「私壊せます。錬金術で壁、壊せますよ」

「まぁ! シャインあなたいつの間に習得したの⁉ そういえば、スキルあったのよね」

「あれ? じゃぁ、私もあの大きな城壁作れるってことですよね?」

「……」

「……魔力量によっても大きさとかは違うけど、練習すれば、できるようになるでしょうね」


 周りにいた仲間たちは顔を見合わせた。

 マルガリータが肯定したので、私も同じ魔法を練習することにする。


「今から、練習します」 

「今からなんて、無理よっ! 魔力もかなり使うはずよ? 壊すのは簡単でも作るのは相当な魔力が必要なはずだから」

「シャイン、本当に壊せるのか? それなら勝算がでてくるぞ!」


 話を聞いてた者がベルナルドたちへ伝えたらしい。ベルナルドたちが寄ってきて尋ねる。

 壁や岩も壊したことはある。成分が似ているから、岩を壊せるなら城壁もいけるはず。家の壁なら色々作れる。ただ、まだ堅い城壁のようなものは作ったことがないけど。成分がちゃんと頭にあり、地面が適していたら作りやすい。


「はい、壊す呪文も覚えてますし、たぶん大丈夫です。扉が付いてるだけですよね?」

「扉は味方を出入りさせるためだろう」

「では私が城壁に近付いて壊すのを見計らい、マルガリータさまがゴーレムを退治する、という方法で行きましょう」


 作戦も決まり、それぞれ次の準備に取り掛かる。

 城壁ねぇ。競技場のグランドで出せる城壁なら、成分は――


 堆積岩、少し石灰岩かな。

 堆積岩ならチリや砂、泥、火山灰や生物遺骸などの粒子、礫など。

 うん、壊せる。


 石灰岩なら炭酸カルシウムを半分以上含む堆積岩。古さによって硬さは違うけど、新しいものほど柔らかい。ということは、城壁はそこまで硬くないのかもしれない。

 個人的にはベスト三位にならなくてもいいけど、皆が頑張って練習してきたのも知っているし、私はできることをするだけだ。


 隣の競技場での試合が終わった。 

 準々決勝進出は、去年五位以外の一位ヴァナ領、二位ニヴル、三位ムスベル、四位ビフレス、六位アンブル、八位アルフ領の六領地となった。

 この場で一位ヴァナ領と四位ビフレス領、隣で二位ニヴルと八位アルフの試合が行われるとアナウンスが流れた。

 それが終わるとこの場で三位ムスベルと六位の私たちアンブル領が戦う。


 隣の競技場では負けた十二領の順位決めが行われる。

 ただし、七位以下を決めるのは、延長なしハーフタイム、一五分制限時間内の試合となる。

 七位以下に決まった各領は、一回戦で戦った領以外のチームと対戦する。

 最初の試合でゴーレムに先に落とされた領のほうが、負けた二組の中でも下になるが、ここで勝ち越したら、七位にはなれるのだ。


 例えば、先ほど五位ニダが八位と十四位バダロナに負けたから、試合前の現時点では十四位バダロナより下だけど、勝てばいい。一度勝てば十二位にまで入れることになる。

 逆に十四位バダロナ領は五位ニダ領に勝ったが、これからの試合で負け越したら最下位の可能性もゼロではない。十四位は五位と戦ったことでダメージは大きい。次勝てなければ、十三位以下が決まってしまう。

 強豪に二チームで挑むことで、ダメージをかなり受けてしまうことはある。

 力の差を知り、無難に中間に納まろうとする領は第一戦では力を抜いて戦い、第二戦で力を出してくる領もある。

 だから、クラスの生徒がいる十四位が気になる……。


 電光掲示板に七位以下の対戦相手が発表された。

 

【七位以下領地対抗戦一覧表】


・七位:スヴァルト/十六位:コスラーダ

・十位:ウト/十七位:トルトーザ


・十一位:フニット/十四位:バダロナ

・五位:ニダ/十五位:モンソン


・十二位:ウブリケ/十三位:ログローニ

・九位:ヨツン/十八位:アンボスタ

 ※順位は昨年のもの 



 基本試合は三回もしくは四回ずつ。点数付けもされているので、それを元に不戦で順位を決めることもある。

 七位以下を決める対戦は、対戦数が多くなる場合がある。

 学園側としては勝ったチームのほうが目に付くだろうけれど、生徒たちにとっては、最下位と中間はともかく、七位を目指しての戦いに熱が入る。点数だけで決められるのを嫌がり、試合することを求める。最後三チームは七位を求めてリーグ戦になることもある。

 数が多くなると時間もかかるので、競技場以外でも試合する。入試のとき、中級魔法試験を受けた場所もその一つ。


 ちなみに、一位ヴァナ領が勝ち進んだ場合、その次の試合はヴァナ領は不戦勝となり決勝に進む。四位が勝ち進んだ場合は各チームと当たるリーグ戦となる。   

 先ほど一位ヴァナ領の試合を見たが、四位ビフレス領となら接戦になるだろうか。 


 ランバートが皆に声をかける。


「観戦してもいいけれど、体を休めることも必要ならそうしたほうがいい。短い時もあるけど、長くても三十分だから休憩と思って休んでもいいんだよ」


 私はお手洗いに行ったあと、休むことにする。


 トイレに行く途中、控室に向かう途中の三位領ムスベルが移動してくるのにバッタリ出会う。モニターで先ほど見たばかりだし、ゼッケンをそのまま付けている。

 一緒に歩いているのは、サルバドール先生だ。付き添いの大人と一緒にムスベル領と一緒に移動しているサルバドール先生が私を見つけてしまった。

 急ぎ避けようとしたけれど、呼ばれては行くしかない。


「次ムスベルと当たったのは残念だったな。と言っても、どうせベスト三と当たるから次でお前の領は消える運命だがな」


 ニヤリと笑いながら語る先生。


「私たちの領が勝ったのをご存じなのですね。ムスベル領と一緒にいるのは、知り合いでもいらっしゃるのですか?」

「私は高名なムスベル領出身なのだよ。覚えておきなさい」


 えっへんという副生音が付きそうな程、背を逸らさなくてもいいだろうに。


「そうなのですね。出身だと先生でも一緒に応援するのですか?」

「アンブル領には騎士団の監督など付ける余裕もないだろうが、我がムスベル領には騎士団から監督を派遣している。その監督と私は友人なのだよ。八組は個人戦では頑張ったようだが、しょせん下位領地ばかり。トルトーザ領などはボロ負けだったな」

「……八組をよくご存じなのですね」 

「生意気だから目に映るだけだ。せいぜいぶざまに負けないように頑張るんだな」


 そこで、監督と思われる男性までこちらに来てしまった。

 領の騎士団所属にしては、でっぷりとしたお腹が気になる体型だ。


「どうした?」

「あ、監督。次あたる領地の生徒ですよ。何、大したことない一年生ですから行きましょう」

「あぁ、数年前には最下位にもなったというアンブル領か。三位との実力差は明白だからな」


 そう言って通り過ぎて行った。

 ムスベル領の監督とその出身のニヤリ先生はお友達なのですね。

 その後に続く上級生たちが男子ばかりだったからなのか、次の相手と聞こえたからか、数名だけど私に向けるハンドサインが最低だった……。


 ハンドサインの意味を知っている貴族令嬢なんていないと思ってのことなのだろうか。まさか私の事をそこまで上級生が知っているとも思えないから、ここは知らないふりをするしかない。

 貴族だよね? それも全体でも上位三位に入ってると言われる領地よね?


 うーん、何かモヤモヤしてきたぞ。

 八組の四つの領地は頑張っていた。決してボロ負けしたわけではないと思う。


 私は急ぎ、トイレを済ませると、ベルナルドたちを探した。

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