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対照(五)

「確かに季節によって空の見え方が違ったりすることあるよね?空だけじゃなくて雲とか太陽の光とか」

 僕が言うと、上げていた首をすぐにこちらへと向き直して、

「真吾君って意外とロマンチスト?」

 なんて、言って来るので、

「いや、そういう訳じゃないけど、結構男子だったらそういうのに興味を持ったりするもんだよ?宇宙とか天体とか色々ね?」

「中二病ってやつだ?」

「いや、全然違うから」

 僕は顔の前で右手を左右に振って言った。

 それを見て彼女は嬉しそうにケタケタと笑う。それは実に彼女らしい笑顔だった。


「紗千が今やってる仕事はアレでしょ?」

 どういう風に説明したら良いのか分からなかったので、簡単に済ませようと『こそあど言葉』で伝えると、

「そう、アレだよ!」

 また新しい玩具を手にした子どもみたいに、嬉しそうな笑顔を見せて言った。

「いや、おちょくらなくて良いから、なんか情報屋みたいな仕事でしょ?」

「そんなに難しいものでも無いけどね?見聞きした事書いてくだけだからさ」

「あ、そういうもんなんだ?」

 僕が興味を示した事が関係しているのかどうか分からないけれど、彼女は自分の隣に置いていた小さなカバンから手帳を取り出して僕に手渡す。

 受け取って中を捲ってみると、そこには誰のか分からない人の名前が大勢書き込まれており、その人の情報が箇条書きで乱雑に並べられていた。

「これにメモして、後でまとめて書いたりしてる訳?」

「ううん、ここに書いたことがそのまま皆の持ってるノートに反映されるんだよ」

「はい?」

 ここに来てまた不思議な事が判明するが、もうここで何が起きようとも僕は腰を抜かす程驚かない。ここはそういう世界なんだと思っているから。


「なんか、すごい道具でしょ?でも、同業者の中では普通の事みたいだから、私もテンション上がったのは最初だけだったよ。急に勝手に誰かの名前が書き込まれたりしてね?」

 彼女は話しながらまた笑っていた。

「じゃあさ、千広さんも同じような物を持ってるって事なのかな?」

「うん、そうだと思うけど」

 別に手帳を覗くだけならば、わざわざ店の裏に行ってこそこそしなくても良いのに。と、思ったが、まだ何も知らないお客さんの為に、千広さんが親切でやってくれている事なのかもしれない。


 全て推測だけれども。

17.03.02 誤字修正

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