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温習(八)

 二つの世界を繋ぐ。

 はっきり言って、それが凄い事なのかどうかも今の僕には分からない。この世界が現実じゃないと知ったのはつい最近な訳だし、基本的なルールすらもまだ把握出来ていない段階なのだから。

 でも、普通に考えれば行き来が出来るようにするとか、そういう話のなのか?なんて、考えていると、

「多分、真吾が考えてるのとは、またちょっと違うと思うぞ?」

 どうして、僕の考えている事が千広さんに筒抜けなのかは分からないが、一体どんな事を考えていたのか是非言って貰いたい。

 千広さんを睨む僕を無視して、

「繋ぐってのは、えーっと簡単に言うとだな。なんだ?」

 説明出来ない彼に、僕の冷たい視線は更に突き刺さる。

「口で説明するのは難しいんだよ」

 視線に耐え切れなくなったのか、逆ギレで返し、

「じゃあ、詳しい説明よろしく」

 と、八十島さんに全てを丸投げしてしまった。


「別に直接行き来が出来るようになる訳では無いんですよ。ですから、たまに依頼でお願いされることがある、あの人に会いたいとかそういうのは叶えてあげることが出来ません。ですが、手紙などであれば、上手く誤魔化して向こうに送る事が出来ます」

 彼は、一呼吸置くと、

「たまに亡くなる前に手紙を出していてそれが死後届くという奇跡みたいなお話がありますけど、簡単に言うとこういうカラクリになってる訳ですね」

 あまり聞きたくなかったような気もするが、こちら側にいる人間にとってはとても重要な事だとは思う。手紙であれば送って貰えるという話になるわけだから。しかし、

「あまり時間が経っている場合は無理ですよ?」

 八十島さんが追加で言う。

「不自然では無い範囲でお願いします」

 頭を下げられるが、僕は手紙を送りたい相手が居たとしても覚えていないし、そもそも家の住所すら覚えていない訳だから、彼に手紙をお願いすることは無いと思う。

 そして、不自然では無いってどれくらいの時間を言うのだろう。

「あの、今の話なんですけど、おかしくないですか?」

 僕の言葉に二人は視線を向ける。

「だって、ここは時間の流れが無い訳でしょ?だったら、手紙はいつ出しても大丈夫じゃないんですか?」

 すると、返事をしてくれたのは千広さんで、

「この世界には確かに時間の流れは無いとは言ったが、向こうは普通に流れてるんだよ。こちらにいる人間は年を取らないけれど、向こうは普通に年を取る。ただそれだけだ。時間の流れは無いが、時間は進んでるんだよ」

 またしても頭が混乱しそうであった。

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