表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/117

両天秤(六)

 いつの間にか二人だけになってしまったレジテーブルで、何か手掛かりは無いかと必死ではじめ君に話を聞いてるが、なかなかこれといった物が出て来ない。

 「どんな顔か聞いたところでそれを再現できる画力なんて無いし、唯一手掛かりになりそうなのは一君から見てお兄さんと呼べる年齢位の男の人だって事くらいか」

 僕は一君に視線を向けたまま、

「ねえ、そのお兄さんってのは僕と比べて年上な感じかな?それとも年下な感じなのかな?」

 彼は目を何度も瞬きさせながら考え、

「同じくらい?」

 首を傾げて言う。


 僕がこういうのも変かもしれないけど、結構若い人なんだな。まあ、お兄さんって言われてるくらいだから当たり前と言えば当たり前なんだけど。でも、明らかにおじいちゃんにしか見えないような人にまでお兄さんって言う人もいるだろうからな。とりあえず、一君がそういうタイプの人じゃないって分かった事だけでも収穫だと思わないといけないな。そんな事を考えていると、

「あ!」

 と、何かを思い出したように一君が叫び、 

「助けてくれたお兄さん、変なカバン持ってました」

 変な鞄と言われても、この世の中には様々な鞄がある訳で、手に持つタイプで言っても、お金持ちのおじさんがよく持っているイメージのあるサイドバッグやクラッチバッグ、それに少し鞄と言えるか分からないけれど、女性が持ち歩くポーチなんかも鞄と言えるんじゃないか?

 だから、思ったことをそのまま伝える。

「その変な鞄って言うのは手に持って運ぶタイプのやつかな?」

 一君は首を横に振り、

「そのお兄さんは肩に掛けてました」

 という事は、リュックサックみたいに背負うタイプとは違うのか?いや、背負ってはいるけど正確に表現するなら肩に掛けてるって言い方も正しくないか?

「肩に掛けるってのこう?」

 僕は椅子から立ち上がり、右肩だけに紐を引っ掛けるジェスチャーを示して見せる。

 一君は、大きく頷いてくれた。

 つまり、肩掛け鞄のたぐいだ。

 僕が買い物に行くときに使っているトートバッグみたいな物は良く見かけるけど、それを見て変な鞄と一君が思うだろうか。

 他には胸の所に斜めに掛けるショルダーバッグがあるけど、あれは胸の大きな女性が使う事で効果を発揮するだけで、別に変な鞄だとは思わない。

 何か鞄以外の事で変だと感じる事があれば、それは鞄自体のデザインやプリントされた絵とかじゃないかと思い、

「その鞄ってのは何か変な絵が描いてあったのかな?」

 僕の希望をあっさり砕くように一君は黙ったまま首を振った。しかし、すぐさま口を開き、

「そのカバンはすごく大きかったんです。でもこれくらいなの」

 そう言って右手の人差し指と親指で一センチくらいの隙間を作っていた。


 え?急になぞなぞ始まっちゃった?

17.01.31 内容修正

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ