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扉(三)

「はい」

 短く返事をして、

「僕が米蔵さんから説明を受けた三つの選択肢がありました。」

 三人とも静かに僕の話を聞いてくれている。

「一つ目はここに残る。二つ目は僕が一人でこの世界から消える。最後は僕と紗千が二人でここから消える。って事でした。しかし、一つ目のここに残るを選んだとしても結局はその後、消えてしまう可能性があります」

 紗千には消えない可能性というものが存在しているとは思うが、米蔵さんに言われたように、僕の心残りが『誰かの役に立ちたい』という事だとするならば、僕は必ずいつか消える。そもそもこの世界に残りたいと思っているのも紗千と一緒に居たい、彼女を支えたいからなのだから。

「二つ目を選んだ場合と三つ目を選んだ場合はほとんど大差は無いと思いますが」

 そこで隣に座る紗千をチラッと見ると、彼女は小さく頷きを返し、

「二つ目を選んだ場合、私は真吾の事を忘れられず、ここに一人で残る事になる可能性があります」

 彼女は更に続け、

「それなら、三つ目の二人で一緒に消えてしまった方が楽なんじゃないか?という話になりました」

 紗千が言い切ると、

「生まれ変わってもお前さんらが再び付き合えるとは限らんぞ?」

 米蔵さんに言われる。それは以前にも説明を受けた話だった。

 しかし、友達や家族、もしかしたら近所の人になってしまうかもしれないが、繋がりが完全に無くなってしまうという事にはならないと聞いていた。しかし、

「紗千は、ここに来る前の記憶をしっかりと覚えている訳ですから、ここから次の世界に行くときにも記憶を残している可能性があるかもしれないって米蔵さん言いましたよね?」

「まあ、なんせイレギュラーな事だからな?」

 米蔵さんも覚えているようでしっかりと同意してくれた。

「そうなってしまった場合、一つ目の選択肢を選んだ状況とほとんど同じなんです。紗千だけが辛い思いをするのは僕たちの答えじゃないんです」

 米蔵さんはそれを聞いて、小さく「ほう」と呟いた。


 数秒、間を置いて、

「だから、僕たちは四つ目の選択肢で行かせて貰います」

「それは?」

 千広さんが食い付くように相槌を入れてくれた。

「僕も紗千もここに残ります。でも、二人とも心残りなんかで消えません。絶対」


 静まり返った店内には、辺りを叩く雨粒の音が小さく響いてる。

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