呟き in アイナ peat.3
第二章
~ 前世界との相違 ~
『 鈴掛けの木 ~ プラタナス ~ plane tree 』
花言葉 : 《非凡》
分厚い日記のページが埋まる
最初は埋まるかどうか不安で一杯だったのに
これではすぐ新しい物が必要になってしまうだろう
「そうならないと良いのにな」
~ ☆ ~
《空の音》が少女を求めたのは とある1つの情念からだった
《空の音》は少女の事を覚えていなかったし 知らなかったはずだった
それでも 《空の音》は ほんの少しだけ残された『欠片』を集めて 少女を求めた
《漆黒》はその想いに答えただけ
少女は知っていた
《空の音》がどれだけ自分を想っているのか 《漆黒》が動いた時点で分かりきっていた
《漆黒》がどのような性格なのかは よく知っていた
知っていたからこそ その世界から追い出せずにいた
少女には まだ 『心』が残っていた
少女は『心』を捨てたつもりでいた
そうでなければ その世界に存在する事など 到底無理な話だったからだ
だが それでも 『心』が残っていた
《空の音》がどれだけ必至になっているのか 分かってしまった
理解しようとしてしまえば それはもう 止められなかった
頬が熱くなり 火照った顔を何かが伝う
少女はそれを止める事が出来なかった
それが何を意味するのかを知っている者でなければ 《空の音》はもう その世界にはいなかった
きっと いや絶対に
少女は心の中だけで叫んだ
声が 出なかったのだ
いや 出せなかったと言う方が正しいだろう
少女は 崩れてしまった顔を急いで直そうとした
時間はいくらでも作れた
だから 《空の音》が聞いた少女の声は 凜として 冷たく 力強かった
少女は口を引き結ぶと 声が震えないよう 必至に話した
冷静に 《空の音》へ背を向けて
いくら時間を作っても 少女の顔はぐしゃぐしゃのままで
だから 諦めた
少しでも早く 事を終わらせたくなっていた
だから・・・・ 繋がった