藍菜の日記 p1
4月8日
あまり日記というものを書いた事が無い。
毎日同じような事を書くのも嫌なので、面白い事、特別嫌な事があったときに、この日記に書き留めることにした。
って、あれ?
何でこんな風に書いているのだろうか、私は。誰かが見ているわけでも無いのに。
・・・・まぁ、良いか。見られているなら、それで。
私の名前は紅紫 藍菜です。紅色の紅に、紫。藍色の菜っ葉で、藍菜。
誰かが読んでいるとは考えづらいけど、ここで紹介しておきます。
さて、最初に何を書こうかな。
・・・・やっぱり、あの夢の事・・・・だよね。
いや、あれは夢なんかじゃない。それは、自分が一番よく知っている事。
・・・・藤黄君が、死んでしまう夢。
何度も何度も夢に出てくる。あの時の音もが耳に残っていて、熱が肌に残っていて、臭いが鼻にこびりついて、離れてくれない。
消えて欲しいと願ったけれど、これが願っただけで消えるような代物ではない事は理解している。
少なくとも、私はそう思っている。
そして、あれが夢じゃないという事は、あの残酷な、紅に染まった世界が存在するという事。
・・・・あの世界は、どうなったのだろうか。
知る術は無いけれど、どうにかして調べられないものだろうか。
ふと、そんな事を考える時がある。
No.1
日時:4月8日入学式 夕方 16時~18時頃
氏名:時貞 藤黄 トキサダ トウオウ
死亡原因:トラック運転手の居眠りによる衝突事故
損傷箇所:全身(当欄に収まらないので省略)
その他の死傷者:0
これは多分、始まりでしかないと思う。だから、ちゃんと覚えておかなきゃいけない。
最初に何が起こったのか。それはきっと後からとても重要な情報になる。確証は無いけども、知っているに越した事は無い。
だから、書いておこう。
そう、思いました。
・・・・。
それにしても、藤黄君って本当に心臓が弱いみたいだね。あ、いや、疑っていたわけではないけれども。
ただ、ずっとニコニコ、ヘラヘラしていたから、現実味が全く無かったというか。まぁ、そういう事だ。
今日はそんな、藤黄君の抱えている問題の重要性、それを思い知らされる日だったなぁ。
今度から、ちゃんと気を遣わないと!
と、張り切ってみたら、葵に止められた。
余計なお世話、だそうだ。