恐怖の洋館 ー円卓の怨念編⑩の1ー
長くなったので二部に分けました。
「二人とも無事でよかった。怪我してるみたいだけどね」
「阿武野、剛力、後野原、お前たちもよく無事で」
「俺はおまけか」
五人が再開。一日も経ってないはずなのにえらく久しぶりな気がした。
「私たちは剛力がいたから大した事態にはならなかった」
「そうか、よかった」
「早速で悪いが二人とも、これから本格的にこの洋館を攻略しようと思う」
そんな私たちが束の間の安堵を楽しんでる中、剛力は何か険しい表情をしていた。
「剛力?」
「ここの真実を知ることが、義務だ」
いつになく真剣な表情、何かあったのかもしれない。
「そうだ、必要かどうかは分からないが隣の部屋で隠れてた時に不気味なものを見つけたぞ」
「ん?」
「そうだったねおにぃ、なんか瓶に目玉みたいなのが入ってるの」
「あの部屋か?」
「ええ」
私たちはさっきまで彼らが隠れていたという部屋に入った。
「……あれか」
「あれだね」
不気味なそれは暗闇に浮かぶように鎮座していた。片目だけであるはずなのにただならぬ眼光を放ってる気がした。
「俺がとる」
剛力が一歩踏み出した。
罠があるかもしれないと思ったが、何事もなくそれを取ることができた。
「……さぁ、あのテーブルに行こう」
円卓のテーブルまで戻ってきた私たちは早速ユダの席を探すことにした。
「ユダの席が現状どの席かは分からない」
「手がかりになりそうなものは持ってきている」
「本当か? さすがは阿武野といったところか」
私がそういって取り出したのは古びた絵本だった。
「絵本? ばっかじゃねぇの、そんなんにヒントなんてあるわけないじゃん」
野原がそう冷やかした。ムカつく。
「馬鹿はお前だ野原」
「え」
以外にも反論したのは剛力だった。
「考古学では遺跡や古書を読み解くためにその土地の風土や神話、童話に昔話といったものから研究するのが普通だ。特に本には子供向けに思われても社会風刺が隠されていたり、その時代の生活様式が描かれていたりする。本はれっきとした手段だよ」
「お、おお、それはすまんかった」
「ま、そうと決まれば読んでみよう」
原田の言葉に皆が賛成した。
「読むよ」
『昔、あるところに十三人の騎士がいました。
騎士は二人のお姫様を守っていました。
ある日のこと、妃が何者かに殺されました。
姫の一人が妃を殺したと噂が立ちました。
騎士十二人はその姫様を捕まえようとしました。
しかし、たった一人の騎士だけは姫を信じました。
姫が殺すわけがない、考え直してくれ。そう騎士は言いました。
すると他の騎士が口々に言いました。
お前はあの姫の手先だ。と
騎士は殺されました。
正面の時計が鳴りました。
悲しげな三時の音色がテーブルに響きました。
お姫様は捕まりました。
その後、お姫様を見た者はいません。
今でも姫様のお部屋には食べかけのスコーンが転がっています』
今回は本気で謎を考えました。




