その2
彼女は瞼をひらき、視界が暗闇であることを思い出し、瞼をおろし
「うっわあ」
再度、あけた。
(夢じゃなくて現実かあ)
彼女はベッドから起き上がると、靴をはきストレッチをする。中途半端な時間に寝たせいか、彼女の眠りは浅かった。そのため、ドアの階段をおりてくる足音で目が覚めたのだ。カンカン、カンカン、と音は近づいてくる。彼女はじっと灰色のドアをみていた。いつ開くのか。いつ開くのか。これからなにが行われるのだろうか。彼女は答えのない自問だけを繰り返していた。
食事に毒を混ぜられ殺されるのか?
罵りにくるのか?
暴力をふってくるのか?
拷問?
脅迫?
みにきただけか?
それともここからだしてくれるの?
彼女は淡い考えにすぐに首をふり、自分を叱咤する。
(それなら、最初に助けてくれるはず)
暗かった部屋がぼんやりと明るくなった。灰色のドアが開いたのだ。
「○○○○」
背後に下僕をはべらかせた青年が一人で部屋へと一歩分はいった。部屋は薄暗いというのに、青年の周囲だけ明るい。青年にキラキラしたオーラが取り巻いているようだ。少年のころは、さぞや美しかったんだろう。おとぎ話にでてくる王子様を体現したような、彼女は青年を眺め改めてそう思った。
「○○○○○○」
「○○!」
「○○○○、○○?」
「゜○○」
青年とその使いたちが、話している。
(確かに、言葉わからないけどさ)
彼女はあくびをこらえて、大きく息をはいた。彼らが彼女をみて、声を潜めて会話をしているのだ。
(これ、私のことについて話してるんだよね)
気分が悪くなる、と彼女は思った。脳裏に、ほんの少し前。牢屋に閉じ込められる前の、光景が蘇る。