表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神谷サンちの猫―Kamiyasanchi・no・Neco―  作者: 風魔 和之
第Ⅰ匹 猫の目
5/50

#4

「―はぁ。」


ドアから静寂は拓かれた。

暗がりの向こうには、単純すぎる平穏。閉じられたベージュのカーテン。顔を出す深い闇


【今日】コンビニのバイト辞めてきた。。


手を洗って炊飯の準備して―

全裸になった神谷は浴室へと駆け込んだ。





乾いた汗を流し終えたら、夕食に取りかかる。土鍋取りだし、冷蔵庫からいくつか食材を選定する。スマホ片手に、映し出されたレシピとにらめっこしながら、下ごしらえしていく指先。


蒸したじゃがいもとニンジンの中心に、食べ頃な鶏肉が占領している、(まある)い世界。白菜をこれでもかというぐらい敷き詰めて、また電子レンジの扉、しめる。


600ワットで1分くらい。しばらくゆとりある時間。冷蔵庫の上、照りつけるレンジの中をじっと見ていた


あとは吹き零れないか…よく見て…


「―」


……


テレビの中に閉じ込められた。


芥川賞のあと、俺はそんな奴だった。切なさと嬉しさが同居していたとき、真希は目の前に現れた。。忽然と。華はいつか散る。絶対散る。限りある命がその人を美しく、時に強くさせていたのかもしれない。


時を彩る 新人女優の顔が、一躍、世間に馳せた あの頃


芥川賞作家、神谷の第二作『クロニクル』の助演女優に「芹沢かよ」が選ばれたことをプロデューサーから伝えられた。


数年後、完成披露試写会で特別ゲストとして出席した折、彼女に出会う


瞳が美しかった。なにより


第一印象として焼き付いた。

こぼれる笑みを見せて、そのたび愚かな自分は忙しない視線。点と点がぶつかるとき、何度も目をそらした。容赦なくじっと・みつめてくる・仕草―これが彼女と僕の大きな“差”。触れては穢れてしまう頬に、ミステリアスなその瞳。すらりと世の中をわたり抜いた身体に、ひらり垣間見える胸の奥。男心の欲と罪を包み込む・たおやかな太股


壇上ではどの出演者より、なぜかココロヲわしづかみにして離さない。


《―》


インターホンが鳴った


赤く点滅する。


受話器の“共同玄関”の文字



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ