#8
翻る闇に優しく包まれ
声が聞こえる
ある夜のこと、ボクはきっと夢をみている
そうだ、主人とともに暗い渚を歩いているんだ
満天の夜空には、これまでの生き方が映し出されている
牢獄時代、柵を通して他の猫達と過ごした日々。
主人と出会って
生き方の答え求めて飛び出した時のこと。不安だったけど希望にみちあふれていた。
旧友たちとの再会。
さいあくな別れ方も経験した。
そして絶望の中、もういちど拾われたあのジンジャの夜。
思い出が灯のように輝いてる
砂の上にはあしあと。
一つはボクの、
もうひとつは主人の足跡であった
最後の光景がうつしだされたとき、ボクの後ろにつづくのはボクのあしあとでしかなかった
不安に襲われたボクは空に尋ねた
淡き光の点がより集まり、主人の一つ一つを形成していた。空から告げられる
人間に轢かれ、命を落としたんだと
。。
でも痛くもない。ボクは夢の中でも、なぜか冷静でいられた。
孤独を奏でるさざ波。方向感覚でさえ進む主人の気まぐれに支配され、爪先が麻痺している。生前の罪が滅ぼされたことを告げられた、僅かな間、沈黙の色が濃くなる海。
罪…
主人にとりまく明かりたちはまるで、眼光の如く睨みをきかせ、ボクの神経、束縛される、無言のメッセージ。遠ざかる景色。意味を教えてほしかった。罪‥やがて、漆黒の渚が崩れ、音も亡く、震え始めた、人間の姿を与える暫しの猶予を告げる光の先
そして、条件としてある使命も同時に与えた。
ボクは眼を丸めた―祈りは、他人から自分のために、自分から他人のために、捧げるものだと。
己が主に感謝せよ―
ヒカリは津波となった
怒涛の如く、闇世を呑み込んでいく。




