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神谷サンちの猫―Kamiyasanchi・no・Neco―  作者: 風魔 和之
第Ⅲ匹 猫に小判
34/50

#9

アメリカ西部ネバダ。


第二次世界大戦終結後、戦勝国として文化・経済ともに目まぐるしい発展を遂げていったアメリカ。その反面、共産主義諸国との対立、いわゆる「冷戦」の幕開けにより国外情勢は核戦争の脅威で緊迫した


国内では大型高級車を乗り回す高所得者や、家電生活の快適さに満たされる一般家庭が溢れた。この時代、エルビス・プレスリーは音楽界を席巻し、ジェームズ・ディーンで輝いた銀幕、黒人音楽と白人音楽の融合・ロックンロールの誕生など、大衆文化に満たされていた


1956年。

ラスベガスの不夜城に忽然と現れた怪人が世間の注目を浴びた。

欲と権力にまみれるカジノで、実力者から金を巻き上げる猫の覆面賭博師「ルーカス・キャットマン」。よく出来た猫の覆面だと人は感心するが、なぜそのようなことをするのか誰も知らない。背後に迫る凶悪な陰謀―愛憎に包まれたカジノスターの生涯を描く。


社交的に着飾り、豪華絢爛をちりばめた【ギャンブル】

駆け引きが放つ独特な色調にうまく順応しながらも、忍ぶ瞳は他を圧倒する―


シンプルかつきらびやかな服装は黒を基調とした男物、なんともその心が読めない。猫の被り物。それは奇妙さえ通り越して好奇心に晒されつづけている


理由や常識という物差しだけでは計り知れない人の心理。ただ「彼」は唯一語る。この顔は真実なんて不細工なものではない。現実だといい放つ。もちろん、周囲は誰も信じない。


そしてもう一人。作品(せかい)にひらり舞い降りた者。

スウェーデン系ヒロインとして描かれるビィクトリア・アンダーソン。


靡く髪は鮮やかに香り、研ぎ澄まされた眼が本能を揺さぶる。長身から漂う時代の風、高貴を身につける傍ら、唇はいつも謎めいていた。権力者の娘であり、怪人と秘められた恋に堕ちる。

カジノで彼女の父親はルーカスと相対したことがある。しかし、大敗を喫し、その後、父親は、至極―目の敵にしている



なぜ、ルーカスは「猫」なのか。

世間の常識は、覆面という結論で一致している

しかしそうではないと。正真正銘の猫の頭だと彼は今でも云う

人々の無言の問いかけに 彼自身が嘆き苦しんだ

そしてどの誰よりも ビィクトリアは不安を抱えていた


1957年。大量生産により経済状況が悪化。アメリカは深刻な不況に陥っていた。国民は失業者で溢れた。


ある日の午後。

光の傾斜は天窓から訪れ、聖母マリア像と出逢う。信頼のおける牧師のもとをビィクトリアは訊ねていた


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