#6
光と影を結ぶ、ちいさな入口に気がついた
脱力感漂う痩せた顔が濃い緑から身を現し、全貌は露になる。
一匹の白い猫。年上だろうか。こじんまりしてるけど、可愛いげのない雄だ。ここしばらくは、ヤクショという処に住み着いていたらしい。今は単に流れ者。名乗らずに、近づいてくる。ある一定の距離を保ちながら
〈あんた、人間なんかに仕えていて‥愉しいか?〉
…。
相手の目付きは険しくなる〈俺らのチームに入らないか。チームといっても、組織ではない。みんな同じ。おなじように扱われる。今までにない、リーダーの無いチームだ〉
続けて、ふてぶてしい顔から薄ら笑いが滲み出る
〈どこにも属さない派の猫がのさばっている…お前。お前もそんな目をしてる。生き方を迷っている。安定だけじゃわからない未来があるんだ。夢は解決してくれる。俺たちには夢がある。〉
“……”
仲間だった年下の猫や犬がまた人間に捕まったらしい
帰ってこないらしい。
太陽の光を吸い込んで、輝くソイツの眼。仄自身、未知なるもので取りつかれそうになる
…犬も仲間?
関係ない。
白猫はいう
「区別する人間界に答えなんかない。自分は何のために生まれたのか…お前も俺もまだ、わかっていない。でも分かるかもしれない。」
俺達なら…
白い尻尾は人間の気配を感じとり瞬時に潜り込んだ。日陰の営みがざわざわ一時だけ騒いで、静まる。反応した主人のまぶたは一度ぎゅっと力んで、開かれる。褪せた瞳はまるで太陽のようにボクと目があった
帰りは違う道を選択した首輪。心とからだ、向かうところ、バラバラ。チュンさんや先輩たちのことが一歩ずつ、また一歩ずつ、心配になる。季節感のない町に、整備された通り抜け。飾りつけのような銀杏の街路樹。住宅街の見慣れない道を突き進み、反対の側溝に沿って歩いてくる人間の若い女と雌の犬。景色は一辺倒、途中で踏みとどまる、足元の白線を逸れて近づいてきた焦げ茶色の犬は勢いよく物言った。ボクも果敢に応戦する。だが反射的に敵ではないと悟ったんだろう、口調はやおら穏便になった。なんて調子のいい奴。
肉体は小柄でも、気丈に振る舞う、まどろっこしい円らな瞳。常に真っ直ぐな視線は網となりボクを捕らえてくる。同姓同士、感じるものがあるんだろう、犬はすかさず年上感を全面に出してきた〈何…あんたアウトドア派?〉
あう…ドア?…眉間が燻っても、頼みの主人は人間の女の子と雑談している。声をかけてみても、効き目なし。動物たちの触れ合いだろうと単に思ってるんだろう。“仲いいんやな”って見下ろしてくる空から、少し困ったような空まで。ふたつの微妙な関係が日を遮る。
〈‥んで、どこ行ってたん?〉




