#5
夜明け。
沈黙を破る、主人の寝息は刻一刻。。
編みかごに敷き詰められた優しさは目が覚めてから、もう一度埋もれてしまう
ボクの専用のベッド。昨日はそのまま眠りについてしまったらしい。日差し溢るるカーテンの切れ間、閉じ込められし朝がある。いろいろ気づかされた幕切れ
誘惑。主人が横たわる安息を見上げつつ、自然と歩いていた扉の向こう、足取りは乏しい
昨日のこと。まだ心の中で精算できていない。血みどろな決闘の光景が今でも残像として映し出されてる。自分から外に出ることはなくなった。むしろ痛いのが蠢いている。怖いんだ
傷は生乾きのまま
沈殿する想い出・浮上する虚しさ。
主人に半ば無理やり連行され、“おはよ。”と…眠たそうな目で、のぞきこまれる
ドロップしてゆく、じぶんの部屋に着地した。
〈いつのまにか、高い柵が設けられていた〉
いや、違う。あれは鉄線を張り巡らせた、単なる【牢獄】だ。ボクは収容されるんだ。二階に上がってくる音を引き連れ、お父さんが現れる。最近の猫、家に飼われてることが多いからー主人とその父親は長らく話し込んでいた
これで大丈夫と。
そう甘くない。ただゆとりある現実。ゆとりなんてない、でも自由な非現実。獄中から網を通して窺う。遠い窓辺…置き忘れた何か
それらはいつも、白でペイントされている
〈……。〉
チュンさんは元気・かな
見続ける。近いようで離ればなれの窓に映るものたちへ、代わり映えしない感情が芽生えくる。恋焦がれる。もう止めよう。。今を大切にしなきゃ
だけど心、整理整頓上手くできないまま、中途半端に空いた引き出し。退屈になって、用意された独りの部屋、つい眠くなる‥
足音。この、だだっと一階を行き来する音に首輪が反応する。迫る無数の指先によって一本のリールで繋がれ、引き寄せられる。運び出され、階段を降り、玄関へそのまま扉は拓かれた―出迎える刺激の煌めき。目を細めた。。犬みたいに晴れ渡る下を…歩かされ、ゆったり進んだ。
ボクの脱走癖を配慮してか、初めての散歩だった
住宅街が陽射しを照り返し、ノロノロ右往左往していたら、たまにボぉーとしてしまう―行きすぎたら制圧で首が痛い。
心をつつく囀ずりのあとに、
緑の入場口。みんな自由に出入りしている。
〈こーえん‥?〉チュンさんの場所より広くて、人間同士の歓声、多いに賑わってる。特に行きたいところはないため、そびえ立つ両脚を背景に、ただ付き従うだけ。何処にでもありそうなベンチは待ち構えて、敷地の脇、後ろの草木が一瞥する中、主人はあっさり腰を預けた。それから暫く待ったんだ。いっこうに動きは、ない。静まり返り、結局、いつまで待たされたんだろう。本片手に、動かない。飽きたのか疲れたのか、眠ったんだろうか
ボクと主人を繋ぐ一本のロープ。垂れ下がっていて、見れば見るほど、だらしない。
“おい。”
ギョッと仄は眼をひんむく。
繁みから声がする。
“…お前。おまえだよ”




