#10
突然喚きちらす目覚ましに身を縮める
昨日の終わりに気づかされ
始まりを主人の部屋で迎えていた
薄い肌着はお腹の方だけ捲れて疲れきった顔が年相応に見える小高いベットの上。燦々と陽射しを受け続ける小麦色の腕がその人の意思に従いながら、鳴り響く壁面の棚へ向かう
現実と幻想のちょうど境目、起き上がる主人の横顔、仰ぎみた。転送されたばかりのしわくちゃな瞼はまた閉じられる、あの世界に、未練がましく
〈見渡すと。〉陣取るのは巨人たち―
静まり返る主人の部屋を
一匹の猫は去った。
自分の部屋へと向かう
茶褐色の不気味な存在。
本らしきものたちを監禁している。いつもいる。挨拶しても眠っているのか返事はない。奴のガタイのいい体でいつも目を引く。それは、あらゆる者を閉じ込めてる部分がなぜ透明なのかということ。強い?弱い?よくわからない。胸の奥は隠せないというのか。不思議な生き物だ
ボクの部屋は大半そんな奴で埋め尽くされている‥でも一階はまた違う種族が住み着いてるらしい
下り坂の段をわざとゆっくり降りてみる。
〈のしあがる先〉
かつてからの知り合いだろうか。人間と同じ目線で触れあう機会が多い奴。主人の机に住みついていた華奢で明るい彼奴と同類かもしんない。蓄えを管理する仕事に就いている。
ゆえに神から一番近く、頼られている
無言でそう自慢してくるから、ボクは爪を立て、目の前の今によじ登ろうと必死なんだ
人間なき世界で時間だけが悠然と過ぎ去る
切り立つ林の如く。見下されるなんて慣れっこだ
いつだって《抵抗》してやる―突き出た弓状の曲線に脚をのばして、また一息ついたら跳躍しよう―
ふとしたとき、爪を隠していた
目についたのは対する巨人の背景
広がるのはあるひとつの空気。漂う方向には
〈洗面所‥?〉スマートな長身は、なで肩を壁に預け、どこか遠く一点、見つめている
【ひとつしかない目を真っ赤に染めて。】
黒い尻尾を伸ばし、進行方向にその先端を結合させている。謎だ―嘴と思っていたけど、脚のように視えてしまう。直立不動にして、なんともいえない落ち着きようだ。いくらチョッカイかけても固く滑らか。嫌味ひとついってこない、まるで死んでるように生きている
“……”
帰ろう‥。
視界の右斜めから迫り来る―
腰を据えた巨人。
あのお母さんに魔術を施されていた風景を
あらゆる記憶の中、溶け込み
一気に思い出す。
切り立つ【謎】
怖すぎる、恐くて‥静かなほど…
近寄れなかった




