3 負けました、獣に
ただいま戦闘中です。ガチもんの戦いです。
戦況をお伝えします。
って、待て!爪で引っ掻いてくんな!それ、当たったら痛いねん。勘弁して!
あー、牙は無し!絶対毒ある。痛そうだもん。
以上戦況でした。
語彙力崩壊していたが看過してほしい。
とにかく、この狼もどき多数が多い。
確認しているだけで、爪攻撃、牙攻撃、冷気攻撃、タックルの四つがある。
冷気攻撃は効かないからいいけど、爪攻撃は辛うじて反応できてるっていう領域から抜け出せないし、牙攻撃は常に食らったら死という緊張がある。
そして、単純なタックルはもう反応できない。だって、こいつの素早さでぶつかってくんだよ、避けられると思う?
でも、タックルは少しの溜めためがあるから、その間に距離を取って威力を軽減している。
じゃなきゃ、我もう死んでる。
まぁ、もう満身創痍に近いけどさ。
って、うわー!おい、いきなり雪玉飛ばしてくんなよ!新技登場はきついって!
これ、上司が定時丁度に「残業お願いねー」くらいの驚きだって。
……例え悪いし、なんか寒気が走ったけど、気のせいだよね?
まじかー、遠距離攻撃も追加かー。
近距離の牙、遠距離の雪玉。地味だけど、積み重ねれば、傷が増えてくる。
特に雪玉はノーモーションで来られると対処できない。当たり所が悪ければ、最悪一発アウトの可能性がある。
不利過ぎないか?俺の攻撃手段持ってた剣と蹴りと殴りだよ?
物理攻撃しかないという悲し過ぎる事実。
おーとっと、また寒波が。たがら、意味ないっての……って、いきなり雪玉飛ばしてくんなよ!
こいつ、知能ある!寒波に含まれる雪で雪玉を偽装した!俺、生き残れるのか?
おっと、タックルのモーション。さて、距離を……って、ええ!?
こいつ、溜めが短くなった!まずい、まずい、獣は眼前に迫ってきている。
苦しみ紛れに振るった剣。それは、なぜか獣を壁際まで吹っ飛ばした。
「あえ?」
変な声が出たがそんなことどうでもいい。獣が吹っ飛んだ?何で?
そんな疑問が頭の中を支配していた。
もしかして、俺の剣って特殊能力があったりする?
絶望的だった勝率がほんの少しだけ上がった。
と、思ったら直ぐに獣が立ち上がった。
まじかよ。こいつ、壁に当たっておいてまだ生きているのか。
直後、獣が俺に全力でタックルしてきた。
「がっ!」
油断した!何で迂闊に壁に近づいた?馬鹿か!しかし、そんなことを後悔する時間なんてない。
俺は先程の獣同様壁際まで吹っ飛ばされた。
幸い、激突はしなかったが、若干腹部が痛む。
緩慢な動作で起きあがろうとした。
馬鹿か!
俺の中の警鐘が鳴らされる。
さっき、油断したばっかりなのに!
「しまった!」
そんな言葉を出す頃には腕が振り上げられていた。
ドォーン!という、音と共に壁が抉られる。
危なかった、少し頭を横にずらしていなかったら死んでた。
だが、完全に避けられるわけもなく少しというか、結構食らった。
崩れた壁の向こうには、まだまだ空間が広がっていた。
それは神が言っていた「迷宮の奥深くの隠し部屋」という言葉の証明になっている。
てか、壁を抉るほどの攻撃って反則だろ。
それは、今までの爪攻撃が本気ではないことを否応なしに認めさせる。
いよいよ、クライマックスか。
また、戦闘が再開される。
しかし、先程までより攻撃の鋭さは増している。
雪玉攻撃の重さも増し、一球一球の攻撃力は確実に増している。
でも、俺も段々速度感に慣れてきた。
だからこそこいつの凄さが分かる。
次の攻撃が読めないのだ。爪、爪、牙、爪、雪。みたいな具合で攻撃を展開した後は、牙、爪、雪、爪、と、攻撃の順番を変えてくるのだ。
だから、厄介だ。常に警戒を怠っててはいけないという緊張感がある。
爪が来たからこっち……って、うわっ!避けた先に雪玉!
あぶねー、咄嗟にジャンプしていなかったら見事な金的食らわされてぞ。
こ、こいつ!人間様の弱点を知ってやがる!やっぱり危険だ。
だが、俺も少しずつ抵抗できるなっていた。
剣を振るったら、軌跡とその周辺の部分に「衝」の力が込められていることが判明した。
獣を吹っ飛ばせたのもそのおかげでだろう。
って、おっとっと。何だ?足に何かが当たったと思い、そこを見れば箱っぽいものがあった。
何だこれ?宝箱っぽいけど何か入ってんのかな?
その箱を開けようとした瞬間、
「ガルルッ、ガッ!」
一際強い雄叫びが上がった。
えー、ごめんごめん。これお前のだった?もしかして、骨とか入ってる?お前、犬属性持ちだったのか。意外だわ。
っめ、なんか身体でかくなってない?え?あ、ガチで怒らせちゃった感じ?
あ、そんな感じ。
まずい、まずい!と、とにかくここから逃げなければ!
そう思い、崩れた壁の方へ向かおうとした瞬間、景色が薄暗い洞窟から、激しい吹雪が吹く銀世界へと移り変わっていた。
「は?」
どこだ?って、雪玉来てる、避けなければ……え?身体が動かない?
いや、動いてはいる。でも、ゆっくり過ぎて動いてないように感じるだけだ。
もしかしてこれはアスリートとかがよく言う、『ゾーン』に入ったのだらうか?否、雪玉の速度は変わっていない。つまり、俺の動きが遅くなっただけだ。
疲労か?違う。どう見ても、この空間のせいだ。
まずいぞ、これじゃ着弾する!
雪玉は俺の腹に当たった。今までは当たっても小石が当てられた程度の痛みで済んでいた。しかし、それはあくまで今までの話だ。
骨が折れる音がする。肉が抉れる音がする。全身を突き抜ける様な痛み。
その痛みは俺の混乱をさらに深くした。
「おぇぇぇ?!」
痛い、痛い。何でだ?これも、この空間のせいなのか?
のたうち回っている俺の元へ獣が来る。
腕を振り上げていた。
それを避ける気力もなくなっていた俺は、何の抵抗もなくそれを受け入れた。
襲いかかってくる痛み。しかし、それは直ぐに消え、俺の意識は闇に沈んでいった。
俺は負けたのだ。
推敲してないので、文脈がおかしいところとか、誤字脱字があったら連絡よろしくお願いします!




