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社畜の転生先は剣でした?!  作者: 紅焔
一章 ダンジョン脱出編
3/4

2 会いました、神に

 あのー、ここどこですか?

 

 いきなり身体に異変を感じたと思ったら、水の上に立っているという事態。


 何で俺沈まないの?

 水の中に何かが仕込まれていて、その上に乗っかっているわけではないよね。水を踏み締めているっていう感覚が、足の裏にある。


 まぁ、この件に関しては考えても無駄か。

 次の変化したこと。それは、視覚の回復。これは嬉しい。イェーイ!聴覚、視覚回復しました!段々と五感が戻ってきている。


 って、今はそれよりも大事なことがある。

 ここはどこだ?


 まず、水の上に立っている時点で、地球ではないことは確定。

 そうなると異世界なわけだが、ここで疑問。何で異世界にいるの?死んだから?転生ですか?あ、はい多分そうです。

 ……まじかー、転生か。え?あんま驚いてないって?何を言っている。無茶苦茶驚いてるぞ。でも、あの闇の中に三日間過ごしている内に、「ここ地球じゃないんじゃね?」とは、薄々感じていた。

 だから、異世界に来たかもしれないっていう覚悟はしていた。

 まぁ、実際に当たるとは思っていなかったが。


 では、少々実感。歩けるかなー?おっ!歩けません!金縛りにあったみたいです。

 何でだよー?!おい、俺を金縛りにした奴!見てるならお願いだから解いてくれー!


「お主は金縛りにあっとらんぞ」


 え?声?俺の他にもここで金縛りに遭ってる人がいるのか?

 じゃ助けに行くぞー!って、俺動けんわ!


「だから、金縛りではない」


 おっーとっと。姿の見えない人物曰く、俺は金縛りに遭ってないそうです。

 じゃ、何で動けないんだだよ!


「儂が動けなくしているかじゃよ」


 何様やねんあんた!行動の自由を奪うと憲法違反だぞ!


「神じゃ」


 はい?神?


「そうじゃ」


 ……う、嘘はいけないなー。


「嘘ではない。儂は神じゃ」


 その声に少しの威圧感が混ざっているのを感じ取る。

 これはまじのパターンだと本能で感じ取る。


 とりあえず謝るか。すみませんでした。図にのりました、許して下さい。


「よいよい、儂はこの程度では怒りわせん」


 寛大なお心に感謝申し上げる!

 で、神様が何のようですかね?


「?それは、儂のセリフじゃ、いきなり『神様頼んますよ』と、呼び出したのはそっちじゃろ」


 ……あ、確かにそう言ったは。え?じゃあ俺いつでも神様呼び出さんの?俺最強じゃん。


「無論、むやみやたらに呼び出せば裁きを下すのは分かっておるな?」


 また、その声に威圧感が混ざる。後、若干の覇気なんかも混ざっているように感じた。


 あ、はいすみません。

 ところで、神様。ここはどこですか?


「ここは、儂が創り出した仮想空間じゃ」


 仮想空間?何じゃそれ?


「うーむ、まぁ、魂と魂を共鳴させ合える場所かのー。簡単に言えば」


 もっと簡単にできたりしませんかね?

 実は俺文系なんすよ、だから魂とか言われてもピンとこないというか、なんというか。

 ……理系文系関係ねーわ。


「これ以上簡単にするか。うーむ、中々に難題じゃな」

 

 あ、すみません。分からないまま突き進みます。


「そうか。で、他に聞きたいことはあるかね?」


 えー、聞きたいこといっぱいあるんだよなー。

 とりま、俺は転生したんですかね?


「そうじゃ、お主は地球から転生してきたのじゃ」


 おー、やっぱりか。因みに何に?


「剣じゃ」


 賢者?嬉しいわ。


「勘違いしないように言っておくと、武器だぞ」


 何だ剣か。え、剣?え?人じゃないやん!


「そうじゃ、お主の魂は異世界に『剣』という肉体を作り、そこに魂を移したのじゃ」


 え?何で、剣にしたの?

 

「そんなの儂に聞くな」


 ですよねー。

 んで、神様。剣だと自由気ままに動けないですよね?


「ああ、剣というのは通常使い手が現れてこそ力を発揮できるものじゃ。じゃから、使い手が現れるまで待つしかない」


 おー、そうなんすか。で、使い手って現れるんすか?


「そうじゃのー、ここは迷宮の奥深くの隠し部屋じゃから、今後百年近くは現れないと思った方がいいかのー」


 そうすか。は?百年?俺死んでるよ?


「剣じゃから壊れない限り死にわせん」


 えー、後百年この闇の中で待つのかよ、最悪じゃん。

 神様そこを何とかなったりしませんかね?


「ふむ。まぁ、自由に動けるようにする術ならあるぞ」


 お、まじすか。何すか?


「『剣人化』と呼ばれるものじゃ」


 『賢人化』?俺の賢さがアップする最高の技じゃないか。

 なら、俺できますよ。


「茶番はよせ。剣が人に変化すると書いて、『剣人化』じゃ」


 ですよねー。

 それ、剣特有の技だから剣ならできるもんじゃないんですか?


「剣が皆、お主のように意識を持っているとは限らんし、意識を持っていたとしても、人間に適応しなければいけないという関門もある」


 あー、確かに。でも俺、意識ある元人間だから問題なさそうじゃね?


「そうじゃな。お主は適性がありそうじゃ。じゃ、一回やってみらどうじゃ」


 え、え、待って。そんなに抵抗なしに言われると逆に心配になるって。

 神様、俺が『剣人化』できるって分からないんすか?


「分からん」


 えー。まじか、まぁ心配をしても何も事態は進まないか。


「『剣人化』をするなら、一旦この空間を退出させるがどうする?」


 じゃ、お願いします。あ、注意事項ありますか。


「ふむ。『剣人化』をする場合はもの凄い痛みが伴うが、それに耐えなければいかんぞ」

 

 了解です。


 じゃ、一回退出させるぞ。


 すると、また視界が闇で埋め尽くされる。


 じゃ、やって見ますか。

 『剣人化』!


 すると、俺の周りに光が漂ってきた。


 って、痛ーい!何この痛み?!やばい、想像以上だぞ。

 あ、ああ……。まずい、意識が……。


 でも、意地でも、意識を保たなきゃ……な。


 そうだ、こういうときは関係のないことを考えるんだ。

 気を紛らわせろ、紛らわせろ!


 でも……もう限界だ……。

 

 そう思った時、痛みが引いていった。

 お、もしかして、成功ですか。


 立ってる!見える!聞こえる!


 久しぶりの二足歩行の感覚に感動しながら、その他の器官に影響がないか確かめていく。


 まぁ、押し並べて伊藤拓実と同じなんじゃない?顔とかは分からないから一旦押し並べてにしとく。


 さて、無事に剣人化を果たしたことだし、これから何をするかなー。


 と、ここで、後ろからむず痒い感覚がしたので振り返って見ると、そこには狼に酷似した生物がいた。

 なぜ酷似という言葉を使ったかというと、口から冷気を吹き出しているからだ。


 この時点で酷似という言葉も適任じゃなくね?もどきの方が合ってるよ。

 っと、そんなこと言ってる場合じゃない。


 さっきから殺気がこちらに向いてて怖いんだよ。 断じて駄洒落ではないことを誓おう。本当に殺気が向いてるんだ。


 一言。怖!

 やめて、俺何もしてない。いやいや、いきなり剣が人になったんだから驚くのは当たり前だろ。


 いやー、こいつかな、剣の時に俺に冷気をぶつけたの。

 うん、恐らくこいつだな。なら、合法的に殺す権利を得たな。


 ふふふ。全く合法的じゃねー。

 まぁ、関係ない、関係ない。


 とりあえず、身体のテストも含めて戦ってみるか。

 そう思い、獣の方に向かって歩み出した。

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