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7話 朝食求めて幾星霜

「夜にトイレに行きたくて起きたんです。私の部屋からトイレに行くには食料庫的なところを通るんですが、私が食料庫の扉の前を通ったときなんだかいい匂いがして意識が途切れたんです。次の瞬間には部屋に戻っていて、なんだか妙だなと思いつつも満足感に包まれながら寝たのを覚えています。そして次の日の朝、なんと食料庫の食料が全部食べられていたんです…!!」

エルメスが少し低めの声で話をする。


「きっと、あの意識が途切れた瞬間、私は食料を食べていた怪物に記憶を食われてしまったんです!!怖いっ!!」

「いや、お前が食ったんだろ」

俺はついに堪えきれなくなりエルメスに言ってしまう。


「え!?確か3日はもつ料の食料が貯蔵されていたはずなんですよ?それを人間が一晩で食べるなんてできるはず無いでしょ!!」

「なら、人間じゃないんだろ」

「ひどいです!!」

「お前!!タケノコ人間だったこと忘れてねぇからな?」

「それは幻覚でしょ!?」


今は深夜だ

ここまで騒がしくしていたら誰かしら注意しに来そうなものだが

ここには俺達以外宿泊していないため誰も咎める者は居ない。


どうして怪談をしていたのかと言うと、「深夜だし怖い話しようぜ!!」と俺が言ったからだ。

しかし、俺には怪談のネタがないからエルメスにさせたところ、全部あんな感じの話だった。


別に怖い気分になりたいわけではないのだが、俺達にはどうしても気をそらしたい理由があった。


カサカサ


「カルス様、まだやってますよ…」

「ほんとにな、いつになったら終わるんだ…」


蜘蛛がダンスしているのだ

比喩でもなんでもなく普通に


「カルス様は木こりなのに虫怖いんですね、山育ちってみんな虫余裕なのかと思ってました。」

「なら、お前は騎士の家系だから剣に刺されても大丈夫なのかよ」

「程度が違くないですか!?」


俺達が恐怖を紛らわすために軽口を叩いていると、天井から偉そうな蜘蛛が出てくる。


「なんですかアレ」

「さぁ?王様じゃね?」


よく見るとそいつの後ろには小さめの蜘蛛が引っ付いている。

王様蜘蛛とちび蜘蛛が2人で中央に歩いてくると、一匹の蜘蛛を残して他のクモが捌ける。

王様蜘蛛が器用に足1本で残された蜘蛛を指差すと、指さされた蜘蛛が崩れ落ちる。


「アレは…」

「どうしましょうカルス様、私あれ断罪イベントにしか見えないんですけど…」

「俺も、」


なんだろう、蜘蛛の世界も人間の世界も流行りは一緒なのだろうか

世知辛い…


突然蜘蛛たちが騒がしくなる。

断罪イベントにより騒がしくなったとかではなく、何か別のことで騒がしくなったように見える。


「カルス様!!なんか蜘蛛たちが暴れて気持ち悪いことに…」

「ブクブク」

「キャぁああ!!カルス様が気絶してる!?って、カルス様の頭の上に蜘蛛が!!キャぁああ!!私にも!!ブクブク…」


目が覚めると朝だった。


〜〜〜


「腹減った…」

「私もです…」

俺達は同じことを思っていたようだ


昨日蜘蛛に無理やり寝かされたのはある意味良かったのかもしれない。

寝ずにクエストに行くのはあぶんないし…

しかし、アレは気持ち悪すぎた、今でも思い返すと鳥肌が出る。


「この宿には確かご飯付いてるんでしたね!!」

「そういえばそうだったな、昨日は臭すぎて忘れてたけど」


エルメスとそう言いながら階段を下る


「あれ、臭くない」

「マジだ、なんでだ?」

「おはようございます、芳香剤が腐ってたので変えたんです。」

「芳香剤からあの匂い出るのかよ!?」

「朝ごはんですね?下に用意してますよ。」


そう言うと幼女は店の奥に引っ込んでいった。


「ご飯楽しみですね!!」

「あぁ…、ってネコマンマかよ!?」

「ここれは猫缶ですよ!!」

「おい!!出てこいロリぃぃいい!!ぶっ殺してやる!!大人をイジった罪だ!!」


俺はそう言いながら店の奥に続く扉を蹴る


「っ〜!!」

「大丈夫ですか!?」


ドアはびくともせず、俺は足を抱えて蹲る。

よく見るとそのドアは木造に見えるものの金属製で、びくともしないのも納得だ。


「おい!!ガキ!!卑怯だぞ?早く出てこいや!!じゃねぇと燃やすぞこの家!!」

「そうなれば賠償金で大儲けできるから大丈夫です。」


なんて図太いガキだ!!

しかし、俺がもう一度ドアを蹴ろうとすると、首筋にチクリとした痛みを感じる。

後ろを振り向くと、エルメスが「え!?なんですか!?どうしたんですか!?」と驚いた顔をする。

気の所為だったのだろうか


「朝飯探しに行くぞ!!」

「え〜、カルス様ネコマンマ食べてくださいよ、意外と行けるかも…」

「お前、覚えとけよ」

「わかりました!!行けばいいんでしょ!?」


俺はエルメスを引き連れ朝の街に飛び出した。


そこから約十五分、ようやく表通りに出たところ。


「なぁ、エルメスさっきからそこに落ちてる猫のチョコソフト食ってみろよ。」

「嫌ですよ!!宿出てから糞見つけたら絶対言いますね!?そんなに恨んでますか!?誤りますから!!」


表通りに出て屋台をある程度見てからエルメスが言う。


「お金持ってませんけどどうやって食べるんですか?」

「知ってるか?エルメス、ダクト飯ってのがこの世にはあってな。」

「ダクトするご飯が無いんですよ!!」


そういうエルメスを無視して俺はなるべく高い位置にある草を探す。

そんなことをしているうちに、小一時間かかり、朝ごはんを売る屋台も見えてきた頃


「カルス様〜私お腹がガランドゥです〜」

「見つけた!!」

「え?何をですか?」

「これだよ!これ!朝飯だ!!」

「えぇぇぇええ!?」


驚くエルメスをおいて俺は手にしたそれを公園の水道できれいに洗い

広場のベンチに座り口に咥える。


「はい」「ありがとうございます」

俺からそれを受け取ったエルメスも口に咥える。

雑草を


「あ、なんだか美味しく感じます」

「そうだろ?やっぱ天才だな」


むしゃむしゃ



「いや!!おかしいでしょ!?なんで雑草を食べてるんですか!!」

「?朝ごはん食べないと死ぬだろ?」

「でも雑草は違うでしょ!?人間として何かを失いましたよ?今の一瞬で!!」

「文句言うならやらねぇぞ」

「いりませんよ!?それ咥えてる時イモムシの気分でしたからね!?私!!」


朝のまだ完全に起きてはいない街にエルメスの叫びが響く


結局その後エルメスが雑草を咥えることはなかったが何度か危ないシーンはあった。


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