6話 路地裏の隠れ宿
「うへぇ…ベトベト…」
俺は服についたスライム汁をミョンミョンさせながら言う。
「それ、早く洗い流したほうがいいですよ。建築に使われることもある接着剤ですから。」
「は!?早く言えよ、あぁクソ、肩がバキバキだ…」
速乾なのか、スライム液にまみれた俺の方は世紀末のヒャッハーにも見える形に固まっていた。
「見て…アレがかっこいいと思っているのかしら」
「まぁ、どんなご家庭だったのかしら」
「トラのパンツでも履いてるんじゃない?」
街に入るとヒソヒソと会話する婦人たちの声が聞こえる。
クソ、家のパンツはトラじゃなくて斧柄だぞ…
「お、お似合いですよ…?(笑)」
「黙れ!!大体なぁあ!お前が!変な!かけ方をしたせいなんだよ!!お前がぁあ!!」
「えぇ!?私が助けなきゃカルス様死んでましたよ!!それも、最弱の!!スライムに!!」
「うるせぇ!!俺だってやればできるの!!」
「武器が地面に刺さった状態からどうやって戦うんですか!!」
そうやって道端で言い争っていたからか、通行人にぶつかってしまう。
「おっと、ごめんよ」と言いながら通行人が通り過ぎていった。
「ホぁああああ!!」
エルメスがカンフーでもしそうな声を出しながら
モンクの叫びのような表情になる。
「どうしたんだ?」
「そ、それ…」
「ん?」
エルメスがそうやって指さしたところに目を向ける。
「ホぁああああ!!」
そこには今日倒したスライムの魔石が踏み砕かれていた。
「おおおおお落ち着け!!大丈夫だ!!ちょっと増えただけだ!!ほらあるだろ?ポケットの中には、って童話が!!アレと一緒だよ!増えただけだ!!」
「いや!!魔石は砕かれたら魔力が逃げるせいで買い取ってもらえませんよ!?早く拾って無事なのだけでも確保しましょう!!じゃないと食費だけしかなくなって宿に泊まれません!!」
「そうなれば飯抜きに決まってんだろ!!」
「えぇぇええ!?」
俺達はそそくさと魔石を拾う
拾えた魔石は元の2割にも満たず、さっきまで安心だった路銀の問題も出てくる。
「今度は本体も持って帰りましょう、そっちは多少踏まれても大丈夫ですから…」
「あぁ、そうしよう…」
〜〜〜
「お金が足りない…」
「あぁ、まさか安宿にも泊まれないとは…」
エルメスの可哀想な呟きに俺も賛同する。
あの後、ギルドで換金すると食べ放題を2人で楽しんだらほぼ残らないような額になっていた。
その時には6時過ぎでもう一度倒しに行くには暗い時間だった。
「これじゃお腹いっぱい食べれません…」
「なんで!?おまっ!これ食べ放題行ける額あるぞ!?」
「…私、食べ放題チェーンから軒並み出禁なんです、全店舗で」
「何したらそうなるんだよ!!」
「何食べます?」
「そうだな…って、いや!!俺は布団で寝たいんだよ!!ふかふかの布団で!!」
「し、真剣ですね…」
「そらそうだろ!!俺ろくな睡眠取ってねぇよ!!」(一日目の夜、泥棒を追いかけ夜通し追いかけっこ 二日目、昼に村から連行中に昼寝)
「まだ二日目ですよ!?二晩ぐらい我慢してください!!」
「なら飯も我慢しろやぁあ!!俺は諦めねぇからな!!この額でも泊まれる宿を探してやる!!」
「もういい加減諦めてくださいよ!!」
俺は屋台を見てよだれを垂らすエルメスを引き連れて路地裏へ入る。
「な、なんで路地裏に来たんですか…?」
「こんな僻地にある宿ならもっと安いだろ?」
「た、確かに…」
「お兄さんたち、宿をお探しですか?」
「「うわっ!?」」
俺達が2人で宿を探していると突然幼女に声をかけられる。
「家はどうですか?」
「ね、値段は?」
俺がそう言うと幼女は俺の耳元で値段を言う
「やっす!!」
「どうですか?」
「行く!!」
「え〜ご飯は?」
「お前だけ食っとけや!!ほらそこに路地裏スペシャル全部盛りがあるだろすすれよぉ!!」
「嫌ですよ!?誰がゲロ啜るんですか!?」
「安心してください、家は食事もついてますから。」
「なら行きます!!」
「何なんだよ…」
俺達がそう言い争いをした地点か15分ほど歩いた地点にそれはあった。
外装も内装も普通…どころか新築かと思うほどきれいだ。
しかし
しかし…
「しょんべんくせぇええ!!!」
「ホントですね…」
「では、お代は頂いたのでごゆっくり」
幼女はそう言って奥に引っ込んでいく
そう、ここに来るまでの間に代金は払ってしまったのだ
「どうして、払ってしまったんですか!?(鼻声」
「だって、そうしたらおまけで2日安くしてくれるって言ってたから…(鼻声」
俺達は我慢しながら上に行くとましになると思い上へ上がる。
実際匂いは収まり、匂いはなくなった。
安心して眠りにつこうとそれぞれの部屋に入り、ベッドに入ってから気がつく。
「グチョグチョで眠れねぇぇええ!!」
そこで気がつく
天井では蜘蛛がダンスパーティでもしているかのように群がっていた。
ダダダダダッ!!!
バンッ!!
「エルメス!!」「カルス様!!」
「「お話しよう!!」」
今夜も賑やかになりそうだ
ここまでお読みくださりありがとうございます
今回はケチって安宿に泊まると散々な目にあってしまいましたね。
ただより高いものはないといいますし、皆さんも気を付けてくださいね。
あの後どんなお話をしたのか、ぜひ次回も楽しみにしていてください。




