4話 世の中回すもん回せば回ってくる
眼の前には気持ちよさげに眠るタケノコ
俺とこの謎のタケノコは石の壁に覆われた部屋にいるようだ。
いや、正確には一面だけ鉄格子がはめられている。
…まさに牢屋の中といった風な部屋だ。
そういえば…
「エルメスはどこに消えたんだ?」
「呼びましたか?カルス様」
俺の呟きに横で寝ていたタケノコが喋りだす。
「はっ!?タケノコが喋った!?」
「何を言ってるんですか?私がエルメスだし、人間ですよ?」
タケノコが言葉を発するという異常事態にも俺のsmart脳みそは超速で適応し、タケノコの言葉を咀嚼する。
「おまっ!!お前!タケノコ人間だったのかよ!!」
「どういうことですか!?」
「クソ!!かわいい仲間と二人旅かと思ってたら、きしょきしょタケノコと幻覚旅だったのかよ!?」
「きしょきしょってもしかしなくても私のことですか!?女の子にそれはないでしょ!!」
「黙れ!!お前のどこが女なんだよ!!この伸縮タケノコ人間が!!」
「ひ、ひどい!!私短い間でも頑張って来たのに!!」
「おい、犯罪者ども!!静かにしろ!!」
俺とタケノコ人間エルメスが騒いでいると看守が怒鳴ってくる。
「はぁ?犯罪者?誰のことだよ」
「お前だよ!!不法侵入した上敷地にあるものを壊した器物破損らしいな」
いや、1つも覚えがないのだが
「あのなぁ?俺は勇者なの、そんな事すると思う?」
「…虚偽申告もか、これ以上罪を重ねるなよ。お前らを連れてきた人が実害はほぼないからって少しの勾留だけで許してくれるんだ。」
この国では刑の重さは被害者が決める。
もちろん多少なりともルールはあるが、軽くする分には問題ないことがほとんどだ。
「あの…これって前科つくんですか?」
「あぁ、多分そうだろうな」
エルメスがわかりやすく肩を落とす。
「何だ?犯罪者なのは元からだろ?俺にタケノコ人間なこと隠してたんだから。」
「まだ言いますか!?」
「タケノコ?あぁ、何だお前まだ幻覚解けてなかったのか?」
「幻覚…?」
看守が変なことを言い出すので聞き返してしまった。
俺のどこが幻覚にかかっているというのだ。
こいつは、元からタケノコ人間なのだろう?
「あぁ、あんたらバカデケェきのこの下に隠れたんだろ?そこの嬢ちゃんはギリギリ息とめてたみたいだがあんたはガッツリ息してたって聞いたぜ、あそこの屋敷には研究者が住んでてな、それで世にも珍しい毒キノコ、スッタラダメがおいてあったんだよ、ありゃ吸えばとんでもねぇ幻覚を見るって話だぜ。まぁ、もっともそのおかげであんたらの罪は軽いんだがな!!」
よく喋る看守だな、しかし俺は気づかぬうちに幻覚にかかっていたようだ。
じゃあ、本当のこいつはどっちなんだ?
「何を考えてるかわかりませんけど私は人間ですからね!!」
「どう見てもタケノコだろ」
「幻覚のせいでしょ!?」
その瞬間顔についていたタケノコが溶け始めた
ドロドロと流れて、ついにはエルメスの元の顔が出てくる。
「気持ち悪っ!!」
「急な暴言!?」
突然あたりに結婚式で流れるあの曲がかかる。
「お、4時かお前らは釈放だな。次はすんなよ。」
「いや!選曲バグりすぎだろ!?」
晴れて俺達は釈放されたわけだが、とある問題にぶち当たる。
「金がねぇ…」
「そうですよね、取られましたもんね」
「徴収…」「ダメですからね!?また拘置所に逆戻りですよ!?」
「ならどうするんだよ…」
「う〜ん、冒険者はどうですか?」
「冒険者か…」
確かにあそこなら戦闘訓練もできて金も稼げる。
一石二鳥ではないだろうか
「よし、ギルドに行くぞ!!」
俺は金の目処がたったことに少し安堵した。
…のだが
〜冒険者ギルド〜
「登録料ぅぅうう!?なんだそれは!!」
「冒険者登録をする際に必要となるものです。」
「私達、一銭も持ってませんよ!?どうしますか?」
「おい!俺は勇者様だぞ?それくらい無料でさせろよ!!」
「申し訳ありません、それが規約でして…」
「ほんとにどうしましょう…」
「お前、冒険者勧めてきたくせに知らなかったのかよ!!」
「カルス様もでしょ!?」
「とにかく、まずはお金を集めてきては…」
受付嬢の笑顔の威圧に俺達は逆らえなかった
〜町中
「お金どうやって集めるんですか!?」
「まぁ、落ち着けよ俺達にはこの馬券があるじゃないか」
「だからその紙切れをどうするんですか!!」
俺達が町中で騒いでいると
突然、男が寄ってくる。
「それくれない?」
「いいですよ、どうぞ」
「ありがとう、書くもの探してたんだ!!」
「おい!俺の馬券に何すんだよ!」
「いいじゃないですか、どうせ外れなんだから…」
男は何かを書き切ると、満足そうな顔でなにかが入った袋を手渡してくる。
「これ、ありがとう!お礼にこれ食べて!あそこで売ってるんだけどメチャ美味いから!!」
そう言うと男は足早に去っていった
「俺の馬券が…」
「今日のご飯くらいにはなってくれたしいいじゃないですか」
「いいもんか!!」
ふと気がつくと子供がこちらを見ている。
「それ、あそこのお肉でしょ?私にも頂戴!!」
「なんだ、ガキ?これは俺の宝物が入れ替わったやつなんだよ、簡単にやれねぇぞ?」
「意地悪言ってないであげてください!!」
エルメスはそう言うと俺から紙袋を奪い取り子供に手渡した。
「おい!?」
「このお兄ちゃんは勇者なんだよ!だからくれるんだって!」
「わぁ!ありがとうお兄ちゃん!」
「ぐっ!!」
「んっとね、代わりにこれあげる!バイバイ!!」
女の子は嬉しそうに去っていった。
俺はエルメスが持っている女の子からの御礼の品を見てみる。
何かの植物で編まれたブレスレッド、きれいな石が一箇所だけはめられている。
「これは…食べられそうにありませんね。」
「食べ物しか頭に無いのか?」
「食べ物無いと生きれないでしょ!!」
突然偏屈そうなおじさんが近づいてきた。
「それはどうしたんだ?」
「貰い物だけど」
「…わしにくれんか?」
「は?」
「いいですよ〜」
「おい?」
「ありがとう!!これと交換しよう!!」
そう言うとおじさんは広場の方へ走り去っていった。
「なんで断らないの?もしかしてイエスマン?」
「マンじゃなくてウーマンです!!」
「そこじゃねぇよ!!てか、何もらったんだ?」
俺とエルメスはおじさんが残した謎の箱の中身を見てみる。
中にはモアイ像のようなものと説明書らしきモノが入っていた。
金食いモアイ像
これ持つととりあえず金なくなる
おつかれ
「あのじじぃぃいいい!!!」
「おおおおお!落ち着いてください!!」
「くっそ!!あの疫病神め!!あいつの金をすべてむしり取ってやる!!どこに消えたぁぁあああ!!」
「完全に強盗ですからそれぇぇええ!!」
「兄ちゃん達いい像持ってるな!呪の品か?売ってくれよ!」
「「…」」
…
登録料はなんとかなりそうだ。
こここまでお読みくださりありがとうございます
4話では勇者が金策として冒険者になるというシーンが見られましたね。
まさか外した馬券がお金に変わるとは…
僕は今日カムニャックで一発やらかしたんですが…
(落ち着いて欲しかった…)
それは置いといて、次回はカルスの冒険者デビューですかね、かっこいいところを見せてほしいものです。
次回もぜひ楽しみにしていてください。




