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イケメンになった俺、中学でフッた女の子が美少女になって隣の席から睨んでくるんだが!?  作者: なぐもん


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48話 隣の美少女は騙されやすい?

 翌日の放課後。


「神崎君、今日なに食べたい? 必要な物があったらお買い物していこうと思うんだけど」


 昇降口で靴を履き替えた俺たちは、晩御飯について話し合っていた。


 今日の俺は週に一度のチートデイ。食事制限なしでなんでも食べられる日だ。


「そうだなぁ……今日は」


 そこまで言うと、俺は昨日の父さんの言葉を思い出した。


 ――「美味い肉でも買ってこよう」


 そうだった。すっかり忘れてた。


「父さんがなんか美味い肉を買ってくるって言ってたよ」


「そうなんだ。じゃあ、剛十郎さんが帰ってくるまで期末テストの勉強だね!」


「じゃあ……行こうか」


「うん!」


 外に出ると、ひまわりみたいに笑う彼女の横顔が、夏の太陽に照らされてさらに輝いて見える。


 こんな美少女が今から俺の家に来る。そう考えただけで、世界中の男に「どうだ」と自慢したくなるくらいには浮かれていた。


「そういえば、剛十郎さんには私たちがお付き合いしてることは言ったの?」


 昇降口を出た先で、隣を歩く月城さんは俺の顔を覗き込むように見つめてくる。


「ああ……うん。言ったよ」


 ――嘘だけど。


「父さんは俺の筋肉と対話してなんでも分かっちゃうんだ」なんて月城さんに言ったら「えっ?」ってなるのは容易に想像できる!


 父さんのユニークスキルについては今回も黙っておこう……。


「月城さんは、志保さんに俺たちのこと言ったの?」


「うん! お母さんすっごく喜んでたよ。『神崎君、家に連れてきて!』って言ってた」


「そ、そうなんだ。志保さん優しいし、安心するな……」


 月城さんは少しだけ頬を赤くして続ける。


「でも……なんだか緊張するんだよね。『彼女』として神崎君の家に行くの、初めてだから……」


『彼女』か……。確かに俺が月城さんの家に遊びに行くなら緊張するだろうな。


 月城さんのお父さんなんてどんな人かも知らないし……まぁ、でも――。


「大丈夫だよ。父さん、月城さんのこと『あの子は芯が通ってる! ああいう子は強いぞ!』って、やたら褒めてたから」


 そう言うと、月城さんは嬉しそうに笑った。その笑みに胸がくすぐったくなり、俺はつられるように笑い返す。





 嬉しそうに弾む声を聞きながら校門を出た瞬間――眩い銀色が視界を横切った。


 艶やかな銀髪が陽の光を反射し、きらきらと風に踊っている。モデルみたいなその姿に、周囲の生徒たちがざわついていた。


「誰あれ……?」

 

「中学生? ありえん、美人すぎ……!」


 ざわめきの中、その大人っぽい少女は一歩前に進み、俺に向かって深々と頭を下げた。


「師匠。お待ちしておりました」


「えっ、澪ちゃん? どうしたのこんなところで?」


 俺が驚いて声をあげると、澪ちゃんはピクリとも表情を動かさず、淡々と答えた。

 

「はい。本日は珍しく部活がお休みでしたので、師匠の教えを乞いに参りました」


「いや……前にも言ったけど、俺、バレーは素人だから、教えられるものなんて――」


「ふふ。またまたご謙遜を」


 ダメだ。この子、根っから人の話を聞かないタイプだ。


「今日はどちらでトレーニングを?」


「いや今日は期末テストが近いから、家で……月城さんと勉強を……」


 俺の脇に隠れていた月城さんがおずおずと前に出る。


「こ、こんにちは澪ちゃん」


「これはこれは月城さん、姉様から球技大会でのご活躍は伺っております」


「あ、あの……その……ずっとお礼が言いたかったの。澪ちゃん、バレー教えてくれて、ありがとう」


「いいえ。私は少しだけお手伝いしただけです。あなたがとても頑張っていたから結果が出たのです」


 澪ちゃんがそう言うと、月城さんの全身がプルプルと震え出した。様子がおかしかったので、俺は月城さんに耳打ちする。


「月城さん? どうしたの?」


「神崎君……澪ちゃん、すごくいい子だ……」


 いや、確かにいい子だけど――。


 月城さんは目を輝かせながら澪ちゃんの立ち振る舞いに魅入っていた。


 月城さんって、ほんとに真っ直ぐだよな。見ていて危なっかしいくらいに――。是非とも詐欺とかには気をつけてもらいたい……絶対騙されるから。


「それで、師匠。先ほど、勉強すると仰っていましたが、私もお供してもよろしいでしょうか?」


「えっ? なんで?」


「勉学もまた鍛錬、師匠の言葉、とても胸に刺さりましたので!」


「俺、そんなこと言った!? いや、でも……」


 困り果てて隣の月城さんを見ると、彼女は俺の腕を引っ張って主張する。


「神崎君、かわいそうだよ……澪ちゃん、神崎君のこと慕ってここまで来たんだよ……。見た目は大人っぽいけど……まだ中学生なんだし、ここで待ってる間も、きっと不安でいっぱいだったと思うよ?」

 

 言い方は優しいけれど、澪ちゃんの気持ちをちゃんと汲んであげたい、という真っ直ぐな思いがにじんでいた。


 月城さんにそう言われたら断れないな。


 ――仕方ない。


「じゃあ……澪ちゃんも一緒に行く?」


「はい! ご指導よろしくお願いいたします!」


  三人で並んで歩き出すと、澪ちゃんは俺の一挙手一投足を見逃すまいとぴったりくっついて歩く。月城さんは月城さんで、俺の袖をそっとつまんで離さない。


 ……なんだこれ。なんで俺、美少女二人に挟まれてるんだ?


 期末テスト前の夕暮れなのに、俺の心拍数だけは妙に忙しい。


 ……これ、本当に大丈夫か?


 そんな不安を抱えたまま、俺たちの『奇妙な勉強会』が始まろうとしていた。

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― 新着の感想 ―
今はまだ"彼女"の立場から余裕綽々の月城さんだが…… ラブでコメな波動が高まってきたぜぇ〜
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