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イケメンになった俺、中学でフッた女の子が美少女になって隣の席から睨んでくるんだが!?  作者: なぐもん


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40話 隣の友人は決意する

 昼休みを終えるチャイムが鳴り、体育館は熱気と歓声に満ちていた。一年生の優勝クラスと二年生の優勝クラスが決勝戦をかけて試合を行う。球技大会もいよいよ準決勝だ。


 駿の過去……聞いちゃった以上、俺が背中を押してやらないと。そんな勝手な使命感が、逆に俺を固くしていた。


 二年生チームは試合開始直後から、露骨に俺をマークしてきた。


「さっき同学年で無双してたらしいな?」


「こいつ止めれば大丈夫だろ」


 挑発気味の声。でも、それに乗せられるほど俺は単純じゃ——ないはずだった。


 無理に突破しようとして、腕を引っかけられ、ボールがこぼれる。


「っと、ナイスディー!」


 完全にハメられている。ワンパターンに突っ込む俺に、二年生は読みやすいだろう。


 焦ってるのが自分でもわかる。クソっ! 俺が……俺がなんとかしないと……。


「翼!」


 駿の声が飛んでくる。振り返ると、あいつはいつもの柔らかい笑顔じゃなかった。


 ――冷静で、すっと熱を下げるような目に俺は一瞬ドキリとする。


「落ちつけ。わざと煽ってきてる」


「……でも」


「“でも”じゃねぇよ。空回ってる。深呼吸しろ」


 駿の声で、ようやく頭が冷えた。


 次の攻撃、駿がボールを受ける。すっと相手の腕をかわして、緩急だけで一人抜く。ドリブルが軽い。無駄がないのに、止めどころがつかめない。


 やっぱ……駿、上手いな。


 駿のレイアップが静かに決まる。それを見て、二年生がざわっとする。


「え、あいつも上手くね?」


「あいつバスケ部か?」


 試合の流れが一瞬で変わった。


「今度は俺が引きつける。お前は外で構えとけ」


 駿が突っ込むと、二年が二人つられる。


 その一瞬のスキ——駿が振り返りもせず、外へボールを出した。


「翼、打て!」


 ボールに触れた瞬間、迷いは消えていた。


 ジャンプシュート。指先から離れた放物線が、真っ直ぐリングに吸い込まれ、ネットの音が体育館に響く。


「ナイス!」

 

 それが準決勝の決定打になった。


「次……決勝だな」


 息を整えながら駿を見ると、少しだけ緊張したように空を仰いでいた。


 そして迎えた球技大会決勝――。


 相手はもちろん水嶋先輩率いる三年生チーム。


 試合が始まる前、俺は駿に声をかけていた。


「なぁ駿。水嶋先輩と少し話したんだけどさ……もしかして、中学の時に先輩を怪我させたのが気になって、バスケ部に入ってないのか? 本当は、バスケ――やりたいんじゃないか?」


 振り返った駿は俺の顔を見た後、視線を伏せた。握りしめられた両手はワナワナと震えていた。


「……入りたい。本当は。バスケはずっと俺の全てだった」


 吐き出すような声だった。


「でも、水嶋先輩に怪我させたまま……まだ謝れてねぇんだ。世話になって、憧れてたけど、あの人の大事な試合潰しちまったんだよ」


 駿は苦笑する。普段の明るさとは違う、どこか迷った笑顔だった。


「先輩のいるバスケ部に今さら入っても、なんか……申し訳ないだろ……」


 駿の声は小さく震えていた。


 ずっと抱えてきた後悔と臆病さを、ようやく吐き出しているようだった。


 だから俺も、迷わず口を開いた。


「……あの人、お前のことずっと待ってたぞ」


 駿がハッと顔を上げる。


「俺に言ってた。駿はすごいやつなんだ、あいつのおかげで俺も頑張れたって、お前が入部してくるのも楽しみにしてたんだぞ!」


 駿の目が揺れる。


 しばらくの沈黙のあと。駿はゆっくりと息を吸い、強く握りしめた拳を見つめた。


「……そっか。待ってくれてたのか」


 そして、小さく、でもはっきりと笑った。


「――試合が終わったら行くよ。水嶋先輩にちゃんと謝る。バスケとも……向き合いたい」


 その目に宿った小さな光に、俺は安心した。


 ――駿はもう、大丈夫だ。


 そして、いよいよ試合が始まる。駿は深く考え込んでいたようだが、試合開始の笛が鳴ると、気持ちを切り替えるようにチームを鼓舞した。


「さぁ、ここで勝って気持ちよくクラスで打ち上げすんぞ」


「よーし、勝つぞ!」


 野球部の佐々木が喝を入れ。


「カラオケ予約しといたよ」


 バレー部の津田は打ち上げ場所を確保し。


「……」


 帰宅部、新田は少し緊張しているようだった。


「翼! 月城さんが見てるぞ! 漢を見せろよ!」


「デカい声で言うな。恥ずかしいだろ……」


 俺は赤面していた。応援席の月城さんも……顔が真っ赤だった。


「駿、楽しみだよ」


 水嶋先輩は笑顔で駿に声をかける。でも、闘争本能はむき出しで、目は笑っていなかった。

 

 試合序盤、水嶋先輩はすごかった。背は高く、腕も長い。シュートのフォームひとつでコートを支配する。


 でも、それ以上に凄いのは、仲間たちからの信頼だ。パスを受けるだけでチーム全体が動き、隙を生まない。先輩が動けば、敵も味方も自然と反応する――まるで水嶋先輩という軸を中心に試合が回っているかのようだった。


「……やっぱり、すげぇ」


 駿がポロッと口にする。確かにすごい、素人目で見ても流れが完全に三年チームに偏っているのがわかる。


 点差は開いていき、俺たちのクラスの応援席からはため息が漏れ始めていた。でも、俺も駿もまだ諦めていない。


「翼、左だ!」


 駿の声に応え、俺が空いたスペースに飛び込む。駿は相手を引きつけ、パスを出す。その瞬間、相手ディフェンスの一瞬の隙を突き、俺のシュートがリングを抜ける。


「ナイス翼!」

 

 しかし、三年生は手強い。水嶋先輩が持てば、仲間の動きが完全に噛み合い、シュートもドリブルも止められない。駿は圧倒されつつも、少しずつリズムを掴んでいるようだった。

 

「行くぞ……俺が引きつける」


 駿は自分の動きを整え、ディフェンスとパスを繰り返す。一度、先輩にドリブルを止められそうになったが、タイミングを見て横からパスを出す。それを俺が確実に決め、少しずつ点差を縮めていた。


 最後の攻防――水嶋先輩がボールを持ち、鋭く突破してきた。駿が必死に止めに行く。


 肩がぶつかる瞬間、水嶋先輩が「やっぱり上手いね」と駿に言っていた。


 しかし、ここで駿はひるまない。一瞬の隙をついて、水嶋先輩からボールを奪うと、全力で相手ゴールにドリブルする。


 俺も全力で駿を追いかける。


「翼! 跳べ!」


 駿が叫ぶとボールをゴール前へパスする。俺は空中でボールをキャッチするとそのままゴールリングに沈めた。


「ア、アリウープ!?」


 水嶋先輩が驚いたように声を上げたが、結局、序盤に離された点差がひびき、俺たちは負けてしまった。


 だが、駿と俺のコンビネーションは三年生を追い詰めたようで、観客席から大きな拍手と歓声が湧き上がっていた。


 駿は息を整え、肩越しに水嶋先輩を見る。先輩は笑いながらも、どこか誇らしげな目で駿を見ていた。


「水嶋先輩……」


 駿が水嶋先輩の元に駆け寄り、深く頭を下げている。


「中学のときは、すいませんでした!」


「いいんだよ。駿もよかったらバスケ部に入らない? また一緒にバスケやりたいな。ほら入部届けも持ってきたよ」


 水嶋先輩は笑顔で入部届けの用紙をヒラヒラと見せている。


「で、でも良いんですか? 俺、先輩の大事な試合を……」


 駿の言葉を遮るように、水嶋先輩が言った。


「また一緒に全国目指そうよ!」


 駿は驚いたように目を見開いたが、すぐに笑顔になって水嶋先輩から入部届けを受け取った。


「はい! よろしくお願いします!」


 駿……良かったな。長い間、ずっと心に秘めていた思いを先輩に伝えることができて。お前が言ってた通り、“言わなきゃ伝わんない”……よな。


 俺も月城さんに――。必ず――。


「神崎君、お、おつかれさま」


 後ろから労いの声がして、振り返ると手にスポーツドリンクを持った月城さんがいた。


「おつかれさま。どうしたの?」


「あ、あの……これ……さっき買ったの……」


 そう言って大事そうに抱えていたスポーツドリンクを俺に差し出した。


 俺は丁重に受け取り、ペットボトルのキャップを外して一口飲む。


「ありがとう。ごめんね。勝つって言ったのに負けてしまったよ。情けない……」


「う、ううん。とってもかっこよかったよ!」


 満面の笑みを見せてくれる彼女がとても愛しくて、俺の頭の中はこの言葉で一杯だった。


 ――好きだ!

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バスケは接触激しいスポーツだから 先輩からすれば当時の事は、そういう事もあるさで わだかまりとかはなかったんだろうけど加害者側からするとね… 翼が恩返し的に背中押してスピード和解出来たのは 駿と先輩…
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