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イケメンになった俺、中学でフッた女の子が美少女になって隣の席から睨んでくるんだが!?  作者: なぐもん


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24/39

23話 隣の美少女がいないだけなのに

 完全にやらかした。


 月城さんの前で、はっきりと「好きです」と言ってしまった。

 

 月城さんは目を丸くして、箸を止めている。顔が真っ赤になって、視線が泳いでいた。


「か、神崎君、それって……」


「ち、違うっ! そうじゃなくて!」


 俺は誤魔化すように慌てて両手を振った。


「お、お弁当! お弁当が好きなんだ!」


「……お弁当?」


「そう! いつも美味しいし、どのおかずも手作りで……」


 い、言え……言うんだ俺……。傷つけないように……。


「でも……ちょっと量が多くてさ」


「えっ……」


「嫌ってわけじゃないんだ! むしろ美味しすぎて、つい全部食べちゃうんだ。でも俺、一日の摂取カロリーを決めててさ。最近は月城さんの弁当だけでオーバーしちゃって、朝と夜ほとんど食べてないんだ」


「そ、そんな……!」


 月城さんはかなりショックを受けたのか、下を向いてしまった。まるで、イタズラがバレて怒られる前の子どものようにシュンとしてしまっている。


 違うんだ月城さん。君が悪い訳じゃない。全部、俺の都合なんだ。朝晩の調整も、俺が勝手にやってるだけで……でも、こうして一緒に食べるこの時間がとっても大事なんだ――。


「でもさ、残したくなかったんだ。せっかく作ってくれてるし、何より本当に美味いから。……それに……二人でこうやって昼飯食べてるのが楽しくてさ」


 途端に月城さんの表情がパァッと明るくなる。


「ほ、ほんとに? 迷惑じゃ……ない? 私、お礼って言ってたけど、ほんとは神崎君の身体が心配で……」


 うん? なんで心配されてるんだ? 中学のときより今の方が、よっぽど健康的だと思うんだけど……。


 もしかして――。月城さん、実はトレーナー志望とか? トレーナー目線で俺の筋肉に違和感でも?   いや、違うよな。月城さんて確か運動が超苦手だったような……。って、今はそれどころじゃない!


「迷惑なんて思ったことないよ。ほんとに、ありがとう。おかげで毎日、昼休みがすごく楽しみなんだ」


「そ、そそそそうなんだ。う、うん。わ、私も……すごく楽しい」


 顔を真っ赤にして、でも嬉しそうに笑う月城さん。

その笑顔を見てたら、俺も自然に笑顔になった。


「明日から普通のお弁当箱にするね」


 よかった! 伝わった! もうカロリー計算で悩まなくて済む。


 安心したのも束の間だった。


「コホッ……コホッ」


「あれ? 月城さん大丈夫? 咳が出てるよ」


「うん。風邪かな? 大丈夫だよ。あっ、お昼休み終わっちゃうよ。早く食べよう」


 そう言って笑う彼女の頬は、少し赤く見えた気がした。



 ――その夜。


 俺は自宅のトレーニングルームで、ダンベルを握って汗を流していた。


「よし、もう一セット……」


 そのときスマホが震えた。腕を上下に動かしながら画面を見ると、月城さんからのメッセージが届いていた。


月城麗:今、熱があって明日学校お休みします。お弁当作れなくて、ごめんね。



 え……!? 熱がある!? 思わずダンベルを強く握る。


「うわっ!」


 俺はバランスを崩して、腕をトレーニングベンチの角にぶつけてしまった。痛っ……!


 鏡で自分の腕を見てみると、二の腕の内側にゴルフボールぐらいのサイズで紫色のあざが浮かんでいる。やっちまった……。まぁ、ほっといたら治るだろ。


 それにしても、月城さん、弁当の件……もしかして気にしてたのかな……。笑ってたけど、本当は落ち込んでたんじゃないだろうか。


 頭の中で月城さんのしょんぼりした顔が浮かんで、トレーニングのやる気が一気に消えてしまった。


 とりあえず返事をしなくては――。


「お昼のことは気にしないで、ゆっくり休んで下さい。」


 しばらくすると、クマ美さんが泣きながら土下座をしているスタンプが送られてきた。


 月城さんってほんとにクマ美さん好きだな。


 よし! 今日のトレーニングは久しぶりに精神鍛錬だ。鏡に向かって、笑顔一〇〇回!


 このトレーニング、地味に表情筋を使うので結構きつかったりする。父さんの話では小顔効果があるらしい。


 月城さんに、話しかけらたつもりでやる!



 ――翌日。

 教室の自分の席から、隣の月城さんの席を見ていた。案の定、月城さんは学校を休んでいて、彼女の机とイスが寂しそうにぽつんとある。


「麗、風邪でダウンだってさー」


 高瀬がため息混じりにスマホを取り出して、月城さんからのメッセージ画面を見せてくる。


「へぇ~、残念だったな、翼。今日はボッチ飯だな」


 隣で駿がニヤニヤしている。


「なんだ駿、一緒に食べてくれないのか?」


 俺は昨日、自宅で練習していた笑顔を駿に向けてやった。


「おぉ。陽キャスキル上がってんじゃん」


「なんだよ、陽キャスキルって」


「学校で楽しく過ごす為のスキルだ。極めると、社会でも通用すると言われている」


「そりゃあ、明るくてコミュ力あるやつは社会でも通用するだろ……」


 駿と軽口を叩いていても、どうも元気が出なかった。いつもなら月城さんが睨んできて……俺がそれに驚く。


 月城さんがいないだけなのにため息がでた。


「辛気臭いなー。心配ならさ、お見舞い行ってこいよ」


「いいじゃん翼~、麗も絶対喜ぶって!」

 

「いや、俺なんか行ったら迷惑だろ……。彼氏でもないのに、そんなことできるか」


 ――そう言いつつも、胸の奥が落ち着かない。昨日、楽しそうに笑ってたのに。今日、月城さんはどんな顔で寝込んでるのか気になってしまう。


 すると、担任の先生が教室に入ってきた。

 

「神崎、悪いけど、月城にこのプリント届けてくれないか。家、近いし、お前たち仲良いだろ?」


「えっ……俺ですか!?」


 仲良いとか、そんな風に見られてたの? ちょっと嬉しい。でも、さすがに女子の家に一人で行くのは……。


 俺が断る間もなく、高瀬が笑顔で背中を押してくる。


「お見舞いの大義名分できたじゃん! 堂々と月城家に突撃できるね」


「高瀬も一緒に行かないか? さすがに男子一人はまずいだろ?」


「ごめん。ウチ、バイトあるんだー。心配だけど、麗のことは翼に任せるよ」


 バイトなら仕方ないな……。


「駿、お前ひまだろ?」


「悪い、翼。今日は隣のクラスの安藤さんと遊びに行く約束してんだ。なんか伝えたいこともあるんだって」


 お前、それ告白されるフラグだろ……。


「じゃあ神崎、頼んだぞ」


 そう言って担任の先生は俺にプリントを渡して去っていった。


 マジか……。


 ――放課後。


 白い壁に青い屋根の家。玄関前のポストには「月城」と刻まれている。門をくぐると、左右に手入れの行き届いた庭が広がり、植木鉢や花壇には赤や黄色、紫の鮮やかな花々が咲き乱れていた。

 

「……来ちゃったよ……」


 手のひらが汗ばんで、インターホンのボタンを押す指が震える。


 ピンポーン――。


「はーい」


 中から聞こえたのは、どこか優しげで明るい女性の声。扉が開くと、そこにいたのは、月城さんにそっくりな、けれど少し大人びた笑顔の女性が立っていた。月城さんのお姉さんかな?


「あら〜麗ちゃんのお友達?」


「あ、はい。クラスメートの神崎と言います。先生に頼まれてプリント持ってきました」


「えっ!? あなたが神崎君? さあ上がって上がって!」


 月城さんのお姉さんは無理矢理、俺の腕を引っ張ってきた。す、すごい力だ。


「いや、俺これを届けにきただけなんで!」


「いいから、いいから。麗ちゃんもきっと喜ぶわ〜」


 お姉さんはそう言って俺を月城家に引き摺り込んだ。

場面コロコロ変わってわかりにくいと思います。

もっと上手くなりたい泣

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― 新着の感想 ―
お姉さん(母)
多分(生姜焼きが)好きですってごまかすだろうなと思ってました まだまだ修行が足りないから、月城さんのお宅訪問でイケメンレベル上げようね〜
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