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固有能力『変身』を使いヒーロー活動をしていた私はどうやらファンタジーな異世界でも最強のようです  作者: 遠野紫


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72 一件落着?

 咲が正気を取り戻してから少しして、目を覚ましたソリスも街へと戻ってきたのだった。


「姉さん! 咲さんが……!」


 正門前での事を知らないソリスは凄まじい勢いでそう叫ぶ。

 しかし咲と桜の二人が抱き合っているのを見て全てを理解したらしく、すぐさまその場に崩れ落ちてしまった。

 彼女もまた既に限界を超えていたのだ。


「ソリス!!」


 そんな彼女の元にメンシスが走り寄る。

 同時に、ソリスの無事を喜ぶのだった。


「ああ、無事で良かった……」


「ふふっ……私がそう簡単に死ぬはずないでしょう?」


 今にも気を失ってしまいそうな状態だと言うのに、ソリスはメンシスを心配させまいと軽口をたたく。

 それに気付いているのか、メンシスは目に涙を浮かべながらも笑いながらその言葉を聞いていた。


 それから少しして、彼女らは未だ抱き合っている咲と桜の元へと向かって歩いて行く。


「お熱いねぇお二人さん。……それにしても驚いたよ。まさかあの戦士の正体が咲だったとはね」


「……その、黙っていてすみません」


「と、とりあえず離れよっか……?」


 流石にこれ以上抱き合っているのは不味いだろうと判断した桜はすぐに咲から離れ、彼女らの話を聞く姿勢になっていた。


「いやいいんだ。そちらにも事情があったんだろう? ソリスだってそう思っているはずさ」


 一方でメンシスは驚きこそしているものの、怒りの感情と言ったものは無かった。


「ええ、もちろんです。それに私たちの方こそ街を救っていただいたことを感謝せねばなりません」


 ソリスも同様に、咲への怒りどころかワイバーンの大群や魔霊王を退けたことへの感謝でいっぱいだった。


「メンシスさん、ソリスさん……ありがとうございます」


 色々と事情があるのは事実であるため、咲はメンシスとソリスのその対応に心から感謝していた。


 そんな時、彼女らの元に一人の騎士が走って来た。


「貴方がワイバーンの大群を倒し、中央都市を救った英雄で間違いはありませんね?」


 そして咲の目の前で片膝をつくやいなやそう言ったのだった。


「あー……えーっと、うん、そうですね。私がその英雄で間違いない……かな」


 そんな騎士に対して最初はどうやって言い逃れしようか迷っていた咲。

 しかしここまで派手にやってしまってはもはや言いくるめることは出来ないと考え、全てを諦めたようだった。


「此度の戦いで功績を残した貴方に、国王陛下自らが褒美を与えたいとのことです。是非、王城へとお越しください」


「えっと……」


 咲は悩んでいた。

 断れば間違いなく面倒なことになるだろう。かと言って行ったら行ったで、きな臭い何かがありそうなのだ。

 国王は魔龍王を討ち取った英雄を異常な額の報酬を出してまで探していた訳であり、警戒しない訳にはいかないのである。


 その後、考えに考えた結果、ついに咲は決断する。


「……わかりました。行きましょう」


 彼女は王城へと行く方を選択したのだった。

 そもそもの話、彼女がアルタリアへと戻ってきたのは国王と直談判するためであった。

 あわよくばこの機会に上手いこと進めようと考えたのである。


 それに当初とは違って咲には今、金銀姉妹と言う頼れる味方がいた。

 王城へと行っている間、もしくは自身の身に何かあった時には彼女らに桜を保護してもらえるのだ。

 

 さらにはこの方法なら合法的に王城へと入れる訳であり、それに越したことは無いとも思っていた。

 それらを全て考慮した結果、咲はこの選択をしたのであった。


「それでは案内いたします」


 咲の返事を聞いた騎士はそう言った後、王城のある方角へと向かって歩き始めた。


「ああ、すみません少し待ってください。……いきなりで悪いんだけど、ちょっと行って来るね」


 しかし咲はそれを止め、桜と会話をするのだった。


「咲ちゃん……」


 桜は心配そうに咲を見つめる。

 とは言え彼女の判断を否定することは無く、王城へ行くことも受け入れていた。


「私のことなら大丈夫。必ず戻って来るから心配しないで」


 そんな桜を安心させるために、咲は優しく抱きしめながらそう言った。


「うん……そうだね。私も信じてる」


「桜さんは私たちが責任をもって保護いたしますのでご心配なく」


「ああ、何があっても傷一つ付けさせはしないさ」


「ありがとうございます……ソリスさん、メンシスさん。では、行ってきます」


 桜の言葉を聞き、二人に感謝の言葉を述べた後、咲は騎士と共に王城へと向かって歩き出すのだった。

本作をお読みいただき誠にありがとうございます。

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