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固有能力『変身』を使いヒーロー活動をしていた私はどうやらファンタジーな異世界でも最強のようです  作者: 遠野紫


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17 新たな力

 その後も咲は走り続けた。しかし一向に出口に辿り着くことは無く、むしろどんどん深い階層に向かっているようだった。

 まるでダンジョンが彼女たちを逃がさまいとしているかのように……。


「仕方ない、かくなるうえは……カルノパンチ」

 

 そのことに気付いた咲は実力行使に出た。

 壁をパンチでぶち抜いて直線的に移動し始めたのだ。


 そうして迷路のようになっているダンジョンの通路を徹底して無視して咲は進み続ける。

 その結果、彼女はとある扉の前に辿り着いたのだった。


「この扉……明らかにおかしいよ」


 その扉はこれまでの石造りの壁とは似ても似つかぬ特徴的な装飾がなされており、誰がどう見ても異質だと感じるものとなっていた。

 例えるならそう、ファンタジー系のゲームのボス部屋への扉と言えばいいだろうか。


「咲ちゃん……? もしかして入るの……?」


「うん。私たち、多分ここに引き寄せられてるから」


 咲は薄々感じていたそのことを桜に伝える。


「どれだけ走っても一向に外に出られないどころか、どんどんダンジョンの深い所に迷い込まされていた。そして今こうして私たちはここに辿り着いた。多分、この先にある何かがそうさせたんだと思う」


「でも絶対危険だよ……! 咲ちゃんに何かあったら私……」


 桜は自分も危険な状態だと言うのに、まず真っ先に咲のことを心配していた。

 それだけ彼女にとって咲は大事な存在だったのだ。


「大丈夫だって安心して。なんてったって私は最強のヒーローだよ」


 桜を安心させるために咲はそう言って扉を開ける。

 するとズズズ……という重い音と共に扉がゆっくりと開いた。その音からもわかるようにこの扉は相当重いようだが、彼女のパワーであれば問題なく開けられるのだった。

 この先に進もうとする者にとって、この扉を開けること自体がまず最初の関門なのだろう。


「中は……まだ通路か」


 扉の向こう側には通路が伸びているのみで、それ以外には何も無かった。

 とは言えその通路もそれまでの石造りの壁とは打って変わって奇麗に磨かれた石材で舗装されていた。


「気を付けてね……?」


「任せて」


 ゆっくりと、一歩ずつ着実に、咲は歩みを進める。

 もちろん、いつどこから攻撃が飛んできても対処できるように常に最大限の警戒を行いながらである。


「ここは……」


 幸いにもそういったことは起こらず、彼女ら三人は通路の奥にある空間へと出た。

 そこにはただ一つ、大きな水晶が部屋の中央にあるのみである。


「これが私たちをここに……?」


「ちょっと咲ちゃん、いきなり触るのは……!」


「大丈夫。殺意とか敵意とか、そう言うのは感じないから」


 咲の言う通り、彼女が水晶に触れても罠が発動したりと言ったことは無かった。

 その代わりに水晶から溢れ出た光が彼女の体を包む。


「なんだろうこれ……えっ?」


 光が収まると同時に咲は困惑の声を漏らす。


「どうしたの咲ちゃん!?」


 それを聞いた桜は思わずそう叫んでいた。咲の身に何かあったのではないかと心配になったのだ。


「うん、えっとね……これ、何て言えば良いのかな。あっ、それっぽい名前がある。……鑑定? って言うらしい」


 咲は困惑したままそう答えた。

 と言うのも、今彼女の視界には謎の文字列が並んでいたのだ。


「鑑定……? そう言えばそんな名前のスキルがあるって本に書いてあったような……」


 咲が口にした『鑑定』と言う名前を聞いた桜はそう呟く。

 同時に、王城の図書館にある本に鑑定に関する記述があったことを思い出していた。


「咲ちゃん、他には何が書いてある?」


「えっと……これは今いる場所のことかな? 『鳥人遺跡』って言うみたい」


「鳥人遺跡……? ってことはやっぱりそうなんだ」


 咲のその言葉を聞いた瞬間、それは桜の中で確信に変わった。


「多分、今咲ちゃんが見ているのは鑑定スキルで得られた情報だと思う。本に書いてあった通りなら他にも自分のレベルとか勇者適性とかが見られるはずだけど……」


「ああ、それなら多分これかな」


 咲は桜の言っているものと思われる数字を確認する。

 そこまで一致していればもはや疑う余地も無かった。

 

 そう、咲が手にしたのは鑑定スキルだったのだ。


 この世界には勇者が得られる能力とは別に特殊なスキルが存在している。

 その種類は多岐に渡り、その中の一つがたった今彼女が手に入れた鑑定スキルなのだった。

 中でも鑑定スキルはその存在自体が伝説とされている程に貴重なものである。

 ……それは何故か。

 

 答えは簡単だ。鑑定スキルはここ鳥人遺跡に存在する特殊な水晶に触れることでしか手に入らないからである。

 かつて存在した高度な魔法文明を持つ鳥人族はその技術を使って鑑定スキルを生み出したのだが、あまりにも強大過ぎるその力を危険視した結果、こうして遺跡の最奥に封印したのだった。


 だが長い時間を経る内にその封印は弱まり、鑑定スキル自体が自らを使うべき強者を求めてしまっていた。

 その強者として引寄せられたのが咲であったと言う訳である。


「よくわからないけど、便利そうだし使わせてもらおうかな」


 もっともそんなことなど知らない咲は「なんかよくわからないけど便利そうなものを手に入れた」くらいの気持ちでいたのだった。


――――――


個体名:龍ヶ崎 咲

年齢:17

レベル:261


勇者適性

筋力:SS

魔力:SS

耐久力:SS

精神力:SS


所持スキル:『変身』『鑑定』

所持称号:『地球の守護者』

本作をお読みいただきありがとうございます。

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