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誤解は解けたがあまりにも哀れ





こんこんとさとすように説明され、ようやく全ては誤解だったんだと気づく。

だんだんと落ちつきを取り戻した譲の母親は、唐突に泣きだしその場に崩れ落ちた。



一人息子に逃げられて、結納も台無しになったとあれば先方に事情を説明し謝罪して慰謝料etc…。

考えれば考えるほど、あわれとしか言いようがない。



真琴にしても、貴重な男友達【2人】を失ってしまったのは悲しいし寂しいと思っているので。

お互いに慰めあえればと思い、自身が知っている差し障りのない部分を全て話した。




いわく、譲が手紙に書いていた【マコト】というのは譲と真琴共通の男友達のことなのだと。

譲とマコトの付き合いは高校の時からで、もう十年になるのだ。



最初こそ普通の友達付き合いを3人でしていたが。

譲が性格のキツイ母親のことで悩んで泣いていた時に、男のマコトが慰め話をよく聞くようになったという。




側で見ていた真琴だからこそ思ったことだが、そこから愛が芽生えたのはごくごく自然のことだった。




そして今度の結納の話が持ち上がり、母親に最後まで逆らえなかった譲の方がマコトを振って諦めようとしたらしいのだが。

簡単に諦められるか!!と怒ったマコトがなかば強引に譲を連れ去る形で駆け落ちしたのだ。



しかも都合よくマコトは会社から転勤の話が持ち上がっていて、その話を受けてあとは引っ越すだけという状態だったので。

職を失わず食べることも住むところにも困らない。

計画的犯行だったと言えた。




譲の母親に話したのはお宅の息子は男と駆け落ちしたんだよ、という簡潔な内容のみだ。

たったそれだけで威力は抜群で、ずっと泣きじゃくっていたのに真琴から話を聞いた途端に白目を剥いて気絶した。



トドメを刺された……という父の言葉が、やけによく聞こえた。




このままではあまりにも憐れということで、真琴の父は母に気絶した譲の母親を任せると。

しわ一つない仕事用のスーツを着て出かけていった。


おそらくまだ家にいるだろう気の弱い譲の父親に、事の顛末てんまつを教える為にだ。

そしてきっと、大事にならないように丸く収めてくるのだろう。


誰に頼まれた訳でもないのに、不幸の連鎖が生まれることが嫌いな真琴の父は進んでこういった厄介事を円満に解決してきた。



一度どうやって解決してるんだと聞いたことがあったが、可愛い娘には話せないと言われた。

なら息子になら話せたのかと聞き返せば。

性転換して戸籍を男に変えるなら話してやろうと言われて以来、聞かなくなったのは懐かしい思い出だ。




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